2011年1月13日木曜日

横浜市鶴見区 市場保育園 樹木選定

わくわくの森保育園、市場保育園を経営する社会福祉法人ICA(Ichiba Childe Association)の山本園長さんと、市場保育園の園庭に植える樹木を選定しに行きました。

従前の打ち合わせでは、園長の意向は、株立ちの落葉樹ということだったので、エゴノキやシャラ、ヤマボウシ等を想定していました。
今日、横浜市内の植木屋さんに現物を選びに行ったのですが、中木5本、高木1本を選定中に、「子供達の木のイメージは、株立ちではないのではないか」との発想から、シンボルツリーは落葉系のヤマボウシの立木に決めました。

上の写真は、中木として選んだシマトネリコ。
この季節でも、このような爽やかな葉の色を見せてくれます。
春になると一層、鮮やかな緑を楽しむことができそうです。



そしてこれがシンボルツリーとして選んだ立木のヤマボウシ。
園舎の南側にどっしりと構え、夏は日よけになり、冬は落葉することで、光を通し、季節というものを必然的に感じることのできる樹種です。
高さは約5.5m。樹齢は30年ほどだそうです。
このヤマボウシは、成長がゆっくり。
これからは、彼が子供達の成長をゆっくりと見守ってくれることでしょう。

今日、感じたことですが、私達の設計、施工する外構施設は、完成し、引き渡しをした瞬間が最も美しく、それからは日ごとに劣化してゆくものです。
もちろん、しっかりとしたメンテナンスを行い、利用者に愛され、使い続けられれば、それなりに、きれいな年の取り方もできるのでしょうが、公共事業においてはそれはなかなか難しいことなのです。
一方、樹木は、お客様の土地に移植した瞬間から、その土地に馴染むように成長して行きます。

老化(劣化)して行くモノと、成長するモノ。
ある意味で、仕事として嫉妬をしてしまいました。
とはいっても樹木にも手入れは必要ですし、寿命もあります。
ただ、その寿命は、数百年に及ぶものも少なくありません。
公共事業においても、かつてはそういうモノづくりがされてきた歴史がありますが、現実として、自分が手掛けているモノ達が、そこまで長きに渡り、存在できるとは考えられません。

園児を育てるという事業も、人間が成長するための手助けをする価値の高い事業です。
樹木や教育といった事業と比べ、今の私達の手掛ける仕事は何て短命なものなんだろうと嫉妬したわけです。

永く永く世代を超えて愛され続けるモノづくり。
我々の業界で、それを実現するためには、素材の選定、すなわち設計の根本から見直さなければなりません。
加え、時を経てもそこにあり続けることに違和感のない素材感、デザイン。
モノ(製品)と、生き物を比較するわけにはいかないのですが、
まだまだ、モノづくりというフィールドの中で、追求しなければならないことの方が多いと気が付いた1日でした。