2008年9月30日火曜日

諫早市こどもの城現場レポート6

昨日、今日と、こちら長崎県諫早市現場は台風のため、大雨が降り、現場は中止になっています。
しかし現場は稼動していなくても打合せはあるのです。
今日は防護柵メーカーのナベシマさん、パーゴラ、東屋を製作した槌絵さんとの打合せ。
両社とも北九州市の企業で、エコウッド社が近いこともあり、再生木材の取り扱い経験も豊富です。
今回も非常に質の高いモノを製作してくれました。
予報によると明日は台風一過の晴れ!
ようやくデッキ工事に入ることができます。

2008年9月28日日曜日

諫早市こどもの城現場レポート5


今日は現場に入って5日目です。
日曜ですが、出かけられずホテルの部屋に閉じこもり、図面を描いています。
昨日の問題解決を「技術的にこうしましょう」と示すための図面です。
他社の描いた図面と自社の図面を合成する時、弊社のキャドソフトと互換がとれない場合があります。
そんな時、dxfというファイル形式に変換し、イラストレータというソフトで互換をさせるのです。
このイラストレータですが、元来は文字通り、イラストレータさんやデザイナーさんが使うソフトですが、こんな合成の作業や、図面のパーツに色を付け、分かり易くする等、結構使えるソフトです。

しかし、今回の現場で予定していた唯一の休日も、この作業のために返上です。
まさに休日を返上しての作業ですね。
来週末はゆっくりできますように・・・

2008年9月27日土曜日

諫早市こどもの城現場レポート4

今日は下地の仕上げです。
理由があり、階段の下地材の設計変更を申し入れ、世にも珍しいこんな形状になりました。


鋼材(ZAM□75*75t3.2)にマリンランバーを三角形に加工したものを専用ボンドとビスで固定しました。鋼材に付着している剥離材(オイル)を拭い、マリンランバーに接着剤を塗布し仮止めし、せん断が2tあるビスで2箇所を固定しました。
作業効率も良く作業も順調に進みました。しかし、少々問題が発生した箇所があり、その解決に昼一から20時までかかってしまいました。
しかしこんなトラブルも現地で関係者の意向、技術的な視野を含め解決してゆくのが現場です。

日本の建設業においては全てをトータルで自社の手で行うことは難しくなっています。あの時、ああいう風に言っておけばよかった等、後悔は尽きません。しかし、トラブルも誠意を持って自社だけではなく仕事の成り立ちを考え、結果を判断する。こんなことが大事なんですね。ちょっと自重気味の今日でした。

2008年9月26日金曜日

諫早市こどもの城現場レポート3

今日はこんな景色をご紹介します。
左に見えるのが有明海。
そこに一文字に走るのは・・・・
例の諫早の干拓事業の産物でしょうね・・・

何故今日はこんな高いところにいるのかというと。

建築物の外壁に再生木材を貼りこむのですが、そこで使用する部材を屋根に吊り上げているのです。
ここでの私の役目は、クレーンのオペレーターさんに、無線で指示を出すこと。

いつもこの役割で感心するのは、全く見えない箇所に荷を運ぶオペさんの腕です。
無線で指示をする人の指示に的確に対応するのが彼らの役目ですが、いつも組んでいる人とならまだしも、私のように出張先の現場で初対面にも係わらず、それをやってのける彼らの技量と集中力には毎度のことながら感心します。
もちろん、指示を出す方もクレーンの操作の基本を知っていなければならないのですが、言語の違いや建築、土木の違いもあります。

玉掛け(荷を固縛する人)、クレーンオペレータ、指示者、玉掛け(荷をほどく人)とそれぞれが連携して素早く安全に作業を行います。
今朝、長崎のとある病院改築工事の荷降ろし中に、作業員の方がトラックから荷崩れをおこした鋼材の下敷きになり亡くなったそうです。
昼前にそんなニュースを聞いてすぐの作業だったので、より緊張感が高まりました。
建設現場で働くと人命に係わる工種が多いことにあらためて気づきます。
亡くなられた作業員さんのご冥福をお祈りするとともに、全国の現場の皆さん、慣れた作業と過信せず、今一度初心にかえって仲間との連携、信頼を強くし、お互いいいモノづくりをしましょう。
そして建設業で働きたいと思う若者が増えるといいですね。

2008年9月25日木曜日

諫早市こどもの城現場レポート2

現場レポート2日目です。
昨日は防護柵(支柱)、シェルターという立面の施工を行いました。
今日はデッキの下地となる根太の施工を行いました。
といっても、広い工区の1施設の施工が始まったにすぎませんが・・・。
ここに納品した根太材はzam□75*75*6000 t3.2
このt3.2が曲者なのです・・・

材料が贅沢過ぎる。

構造計算をするとここで設定されている加重条件では、t2.3で十分すぎるほどの強度が出ます。
このtというのは鋼材の肉厚を示します。
厚くなれば強度が増しますが、同時に加工は困難です。
孔のひとつを空けるのも大苦労です。



この設計を、製品を採用いただく時に
構造計算を行い、t2.3へのダウンサイジングを提案したのですが、
鋼材高騰の折、承認をいただけず、現場での苦労を強いられました。


何が正論かという議論は、そこに関与する方々の立場により異なるので言及はできませんが、 この現場の場合、私の立場からすると過剰設計です。
あの時、もう少し強く提案をしていれば・・・・と現場で後悔することとなりました。
それでもそんなことには全く罪のない職人さんたちは、現場で創意工夫をしてくれます。
しかし、創意工夫の範囲であれば済めば良いのでしょうが、無理をさせては事故につながります。
適正なものをきっちり確実に施工する。

何が適正か・・・
それは立場により異なります・・・・

話は異なりますが、麻生さんが総理になり、閣僚を自らの声で発表しました。
時を同じくして原子力空母「ジョージワシントン」が、
私の故郷である横須賀へ入港しました。
その横須賀では、小泉さんが政界を引退し、次男に地盤を引き継ぐことを表明しました。

何が適正か・・・・

地球規模で考えると、私の現場で抱えている問題は小さな問題なのかもしれません。
しかし、小さなことが重なり大きな波となるのが世の中の定めです。
皆が抱える小さな城、問題を大きな視野で見て、世の中にとって適正な判断ができれば
もうすこし良い世の中ができるかもしれませんね。

小さなことから頑張ろう。

現場では小さなことですが、沢山のことを学ぶことができます。
そんな小さなことを設計に経営に反映し、少しでも良い世の中を創るお手伝いができればと思います。

2008年9月24日水曜日

諫早市こどもの城現場レポート1

本日より長崎県諫早市の「こどもの城」の現場に入りました。
これはかれこれ3年前に設計をした物件です。
当時は、植林された杉林の現場で、地盤の勾配も何も把握できずに図面を作成したので、プロの方が見ると「ゴツイ鋼材を使ってるな!」と思われることでしょう。

今月一杯、この工事の施工監理を行いますので、更新できる限り、現場の状況をご紹介しようと思います。

この工事の概要は、
建築工事・・・・壁面再生木材化粧工事、デッキ工事
外構工事・・・・デッキA,B,C、パーゴラ、東屋、他

上の写真は、本日スタートした外構工事のデッキAです。
鉄骨構造上にパーゴラ、ベンチ、防護柵を取り付けました。
下の写真は施工前の鉄骨構造です。




2008年9月22日月曜日

ジャグジーデッキ改修工事

横浜のとあるフィットネスクラブのジャグジーデッキを改修しました。
下の写真は改修前のもので、他社の再生木材が使用されていますが、
デッキ材が波を打って、さらに白華現象を起こしていました。

再生木材も設計、施工を誤るとこんな症状が現れます】クリック:拡大表示


下部構造を見てみると、ジャグジーという「水場」にも係わらず、杉材が防腐処理を施していないまま使用されています。


【防腐処理を施していない構造部】


再生木材は、メーカーにより異なりますが、基本的に原料となる木材をパウダー状に粉砕していますので、いわゆる“繊維”がありません。
よって、ハードウッドのような強度は求められないものの、「棘(トゲ)が出ない」「ささくれを起こさない」等の安全上のメリットが享受できます。

このジャグジーデッキの場合も、室内プールに隣接しているため、利用者が素足でご利用になられます。
それゆえに現設計も、再生木材の「機能」を評価し、採用されたのでしょう。
しかし、現実としてはこのような状況となり、改修が必要となりました。
では、何故、再生木材がこのような症状になってしまったのでしょうか?


木材劣化診断士の見解から、想定されるのは次の2点です。
①下地構造
②デッキ材の材寸と目地のアンバランス

まず、①ですが、
本施設はジャグジーデッキです。
当然のごとく、水への対応を施さなくてはなりません。
ところが、現設計では前述の通り、柱、大引、根太という下地構造に「杉」が使用されています。
それでもせめて防腐処理がされていれば、もう少し寿命は延びたかもしれませんが、
根太材に、いわゆる「未処理」の角材が使用されていました。


【腐朽した根太材】


床板を留める根太材がこの状態では、当然のことながら、床材は固定されていないも同じ状態となり暴れてしまいます。

次に②ですが、
再生木材の多くは木粉とプラスチックの混成材です。
木粉をプラスチックで覆っているので、劣化しにくくなっているのですが、
他方、プラスチックが混成されているので、熱膨張を起こします。
熱膨張の係数は各社により異なりますが、
この熱膨張をどう制御するかが設計、施工の鍵となります。

この膨張、いわば伸縮ですが、
弊社では、夏(高温時)の伸びと冬(低温時)の縮みを勘案した設計、施工を行っています。
設計的な要素としては、基準材長を2mに設定しています。
これは、デッキ上をピンヒールでご利用される方を想定し、最大5mmの目地管理を基準としているためで、
夏冬の材の表面温度の度が約50℃となるため、この温度差で伸びが最大5mm以下となる材長設計を行っています。
施工的な要素としては、施工時の材温(材長)管理が挙げられます。
弊社の施工管理基準は日に4回の材長測定を行い、測定した材長により当該時間帯での目地幅を決定しています。
つまり、「材料が熱により伸びている状態であれば、目地を詰め、縮んだ状態であれば目地を広げる」具体的な指示を施工する時間帯ごとに定めているのです。

これを行わず、天然木と同じように目地を確保せず施工してしまうと、膨張した材料が互いに押し合い、冒頭の写真のような症状として現れるのです。


【今回の改修では根太にzam鋼板を使用】


また、最近、「デッキの目地から硬貨(コイン)が落ちるため、目地をなくしてくれないか」という相談を受けることがあります。
しかし、残念ながらコストアップなしに、この相談、リクエストに応えることはできません。
というのも、目地はデッキにとって大事な「機能」だからです。

この機能とは、
1.デッキ上に溜まった水分、ゴミを目地を通して下に落とす(水はけ/滑り止め)
2.デッキ下の蒸れた空気を蒸散する

等々が挙げられます。

もちろんコインの落下対策としては、デッキ下の根太間にネットを敷設する等の解決策はありますが、いざ、発注となるとそのコストに躊躇される方が多いのです。
一方で、このコイン落下に限らず、「できます。やります!」という業者の方もいらっしゃいますが、その結果、いたずらに製品寿命を 縮めることにも繋がり兼ねません。

適した材料を、適した手段で、適した箇所に配する。
「適材適所」  良い言葉です。

再生木材の持つ「安全性」「耐久性」を評価して下さるお客様が多い中、「適切な設計、施工があってこそ、この性能が担保される」ことを、sai-BRANDとしてはきちんと告知して行く義務があると改めて感じた現場でした。


【リバースウッドデッキシステム標準仕様 ビス仕上げ】

・デッキ材:138*20(中空材)

・ビス:どりどり君 M6*45(SUS410)

・根太材:70*40 t1.6/40*40t1.6 ハット型根太(ZAM)

支持脚:HOLLY HTZ-100BP(ZAM)

2008年9月6日土曜日

木材劣化診断士講習へ参加して

9/5(金)の午後、午前中にsai-BRAND研修会を終えた足で
今度は教わる側の講習会に参加しました。

「木材劣化診断士」講習会。
あまり聞きなれない資格でしょうが、
我々にとっては欠かせない資格です。

老朽化した木材構造物が、
「構造的」にどこまで痛んでいるるのかを診断し、
まだこのまま共用しつづけることができるのか、
メンテナンスが必要なのか、
はたまた即座に共用を中止すべきなのか。

いくつかの非破壊試験を行い、
上記のレベルを判断し、その対策を講ずる。
これが木材劣化診断士の仕事です。


sai-BRANDの代表的な技術のひとつに
リバースデッキ工法という独自の工法があります。

これは老朽化し、危険な状態にあるデッキを診断し
メンテナンスし、安全を保てるものであれば
具体的なメンテ方法を提言し、
そうでなければ、既設のデッキを九州工場へ運搬し
原料とし、再生木材を製造し、現場へ返す工法です。

いずれにしても、なぜ、高い投資を行ったデッキが老朽化したのか。
この原因を診断することから始まります。

この資格を取得する前は、
私個人の「主観」で判断し、レポートを書いていましたが
この資格を取得することにより、
診断方法、結果に客観要素を加えることができるようになりました。


今回の研修は、22年前に設置された木製遊具の診断を行い
まさに実戦を通じての研修を行いました。


■含水率計を用いて、構造材に使用されている木材がどのくらい水分を含んでいるのかを測定します。
 ちなみに日本(本土)の場合、平衡含水率は14%程度です。


■触診や打診、含水率の測定により、あやしいと思われる部分に超音波を当てます。
 音波が早く帰ってくる箇所は、木材組織が密で「問題なし」。
 遅い箇所は疎で「内部が腐朽している可能性がある」と判断されます。


■さらに怪しい箇所には直径1.5mm程度の針を、電動ドリルで打ち込み、そのトルク変動を観測する方法で内部組織の劣化具合を診断します。




このように、木製構造物を破壊せずに、その「状態」を診断する非破壊試験を行い、
現状に提言するのが木材劣化診断士の業務です。

日本人は「木」が好きなのです。
皆さんの生活でも、周りを眺めて見てみると
たくさんの木材が使われていることに気付くでしょう。

「木」は自然素材ゆえに、不思議と「気持ちが落ち着く」効果があります。
木は建材となっても呼吸し、常に膨張・伸縮を繰り返します。
そんな「木の特性」を理解し、設計され、現場に納まっているものは
長い長い時間、そこに鎮座してくれます。
ところが、そうでない場合、
「あっ」という間に腐ってしまうこともあります。

水に強い木、棘(とげ)が出にくい木、摩擦に強い木、害虫を寄せ付けない木etc...
木にもたくさんの種類があり、それらの特性を理解し、
その個性が発揮できる部位に使用する。
これが経験から来る極意です。

「適材適所」
私の一番好きな言葉ですが、
これをしないと
せっけくの高価な材料も無に帰してしまいます。

これは「木」から生まれた言葉と想定されますが、
人も同じですね。
その個性が発揮できるよう配する。

しかし、なかなかそうはいきません。
人間も定期的に劣化診断をしなければ
期待される耐用年数を過ごせない今日この頃・・・

人もモノも永く良い状態を維持するには
定期的な診断が必要なのかもしれません・・・

2008年9月5日金曜日

製品・技術研修会(参加御礼)



9月4日、5日の2日にわたり、弊社の製品・技術研修会を開催させていただきました。
不動テトラさん、興生建設さん、ツカ・カナモノさん、トッパン・コスモさん、三洋工業九州システムさん、風憩セコロさんからたくさんの方々にお集まりいただきました。

弊社とモノづくりのコンセプトが非常に近い、風憩セコロさんと防護柵やてすり、クリーンエネルギープロダクツを共同開発、販売して行くことになり、まず第一弾の製品説明会を開催したわけですが、これに加え、9月1日から仕様変更をしたデッキシステムの説明もさせていただきました。

sai-BRANDは、「資源であり続けるモノづくり」をテーマにしていますが、これは単にビジネスモデルとしてだけではなく、営業(販売)、設計、製作、施工、メンテナンスに係わる全てのメンバーが連携しなければ叶えることのできないテーマです。

「高質なモノを高いレベルで施工する」ことによりメンテは減ります。
他方、「メンテナンスやトラブルを設計にフィードバックすることにより、高質なモノづくりに反映できます。
これらの全てを一社で行うことは、実質的には無理でしょう。
なので、sai-BRANDはモノづくりに係わるメンバーが連携し、テーマの実現に向け動きます。
研修会はその一貫。

今回も九州や大阪の遠方よりたくさんのメンバーが参加してくれました。
下半期に向け、更に連携を強化し、互いに発展しましょう。

※今回の研修会に風憩セコロさんに入社したばかりのWさんが参加してくれました。
 若い新人はいつ見ても爽やかで、未来を感じます。
 お互い地球の未来へ向け、できることを精一杯やっていきましょう!

2008年9月3日水曜日

仕様変更のお知らせ(標準仕様ビス仕上)


平成20年9月1日で、リバースウッドデッキシステム標準仕様の構成パーツを一部変更致します。

・変更の概要
従来の70*40*5400t1.6(ZAM鋼板)を新型80*40*4800t1.6(ZAM鋼板)に変更しました。
これに伴い、支持脚の根太受プレートを大型化(110→120)に変更しました。

■変更した仕様(下地レイアウト)


従来の仕様



・仕様変更の背景
昨今の鋼材の値上がりをダイレクトに売価に反映すると15~20%の値上がりとなります。
そこで弊社では、製造委託工場を替えるとともに、根太の形状を大型化することにより、支持脚ピッチを広げ、支持脚の部材点数を減らし、システム全体の値上げ幅を5%以下に留めることとしました。
もちろん構造計算、実地試験も完了しています。
根太の天端幅を広げることにより、施工精度もより向上します。

※尚、標準仕様ノンビス仕上、沿岸仕様につきましては変更はございません。