2010年10月29日金曜日

新たなる挑戦

足掛け2年の月日を費やし、営業、設計をしてきたプロジェクトの受注が決定しました。
西日本から事業を立ち上げてきた弊社にとって、東京で受注する初めての大型プロジェクトです。
最近は大型施設の計画が少なくなり、今回のようなプロジェクトがすんなりと受注できるはずもなく、兎に角、苦しんだ末の受注となりました。

自分たちで提案し、そして発注者様へ約束をしてきたこと。
それを「人間として、企業として、絶対に履行すること」。
それだけを心の底に置き、パートナー企業とともに諦めずに、努力を続けました。

とはいえ、受注は仕事のはじまりに過ぎません。
決して長くはない工期の中、これから設計をカタチにするための自分たちとの戦いが始まります。
基本設計を実施設計として具現化し、しっかりと現場スタッフとコミニュケートできなければ絵に描いた餅となってしまします。

「現場で起こりうることをあらかじめ想定しながら、設計をする」

実施設計とはPCの中といえども、何分の一かのスケールの実現場なのです。
想像を巡らし、想定し、少しでも品質の高い作品を提供できるよう、
思いを共にする現場スタッフにきっちり伝えることのできる仕事をしなければなりません。

まだ、現場名は明かせませんが、施主様にご了解をいただければ、いつものように現場レポートをお届けさせていただきたいと考えております。

※写真は提案させていただいたパース図



2010年10月26日火曜日

コラボレーション

全国を回る機会が多いのですが、訪れた先には様々な可能性が潜んでいます。
前回の北陸への出張で、出会った商材を商品化するため、技術的な打ち合わせに再度、北陸へ行ってきました。

写真のロープが、今回の素材です。
何の変哲もない、普通に海で使われているロープに見えますが、
まさに「羊の皮を被った狼」とでもいいましょうか、目を見張る性能を持っています。
まだ、その用途や性能をお披露目できませんが、鋭意、製品化を図ります。
全国のsai-BRANDのファンの皆様、乞うご期待願います。

最近、異業種、異分野への仕事に取り組むことが多くなってきました。
これもひとえに、人との出会いによるものですが、オープンマインドで臨み、お互い協力し、良いモノを全力で創り上げる。
コラボレーションは、ノウハウの公開や責任の所在の明確化、互いの協調(違う会社ゆえ、互いの立場で考えること)なしでは成し得ません。
まだまだ、自らの常識を捨てれば見える、「隣の芝」もあるのではないでしょうか。

今日は取引先のリニューアルした素晴らしいウェブサイトを拝見し、触発され、記事をupしています。
これも心のコラボレーション。


2010年10月13日水曜日

敦賀港国際ターミナル開港、おめでとうございます。

昨日、福井県の敦賀港の多目的国際ターミナルが供用開始されました。
新港の水深は-14m、延長は280mで5万トン級のコンテナ船が着岸できるそうです。
新しいガントリークレーンの稼働も開始され、日本海側で最新鋭の設備となったっそうです。
【新港記事:asahi.com】

新しい港を開港するという大きな仕事を終え、関係者の皆さまはホッと胸をなでおろすことができたのではないでしょうか。お疲れ様でした。

この新港の整備に合わせ、近隣のポケットパークにソーラー照明灯「ヒラソル」を納入させていただきました。
新港の入口に位置するポケットパークなので、たくさんの人々が訪れてくれると思います。
駐車場もあり、気軽に磯へ踏み入れることができるよう設計されています。
新しい港の風景を彩るお手伝いができ、嬉しい限りです。
国際ターミナルの開業、おめでとうございます。

2010年10月7日木曜日

コストダウン=機能美


弊社は外構施設の設計、施工を手がけています。
設計を依頼され、一番最初に行うことは、計画地の立地環境の把握です。
縁があり、設計をさせていただくのですから、計画する環境下に、最も適した素材を吟味し、正しく使い、正しく施工することで、美しく、長く愛される施設を造りたいと考えています。
イニシャルコスト(初期投資)の低減はもちろん考慮しますが、最も大切なのはトータルコストの低減だと考えます。

ボードウォークやデッキを例に挙げると、「水平に板を並べるだけ」と簡単に考え、設計、施工されている物件が多すぎるように感じます。
表面にデッキ材が整然を並んでいれば良いと、コストを大幅に下げて、「臭いものには蓋をする」かのごとく設計や施工をされている現場を見て、がっかりする機会が増えています。
そのような現場は、竣工後10年も経たないうちに不具合が発生し、期待寿命を全うできず、結果、“危険な施設”と判断され、解体、撤去されてしまいます。
すなわち、地球に多大なゴミを残すに過ぎない仕事となってしまうのです。
永い永い地球の歴史から見れば、他社の3倍長持ちしようが、小さなことかもしれませんが、せめて、次の世代まで使い続けられ、そして、その施設が寿命を迎えた時には、資源として受け継がれるようなことを考え、当初から、設計、施工を行いたいと考えています。

一方、このような経済の下では、きれいごとばかりは言ってられません。
この時代に於いては、イニシャルコストの低減も不可欠です。
しからば、魅力があり、長持ちする施設を安く造るにはどうしたらいいのでしょう。

その答えとして弊社が出した結論は、「適材適所」という古来からの発想です。
例えば、ボードウォークで最も大切なのは、「下地」として構成される部位です。
構造物の劣化診断を行うと、根太や大引き、支持脚といった“隠れてしまう部材”の性能に対し、あまりにも関心が持たれず設計、施工されていることが解ります。
よくある事例ですが、痛んだデッキ材を剥いでみると、水や湿気が溜まり、“お風呂に蓋をしたような状態”となっているケースが多々見受けられます。
そのような環境下では、デッキ材を固定している根太が腐食するのは無理もありません。
これは部材選定以前の問題で、誤った知識や認識で計画されているとしか言いようがありません。
建設業も分業化され、トータルで物事を考える「質」が低レベル化しているように感じます。
「適材適所」と前述しましたが、施設を設計する上では、まず、設置環境を把握し、そこに「適材適所」な部材選定を行い設計することが、ライフサイクルコストを低く抑える技術だと考えます。
また、コストダウンには、製造時の部材長や、効率的な配列など、生産工場や職人の効率性をも踏まえた、無駄の極力少ないトータルマネジメントが不可欠です。
同時にボードウォークと取り合う防護柵やベンチも、設計時に、そのピッチを工夫するだけで、現場での加工の少ない、美しい仕上がりとなります。

コストダウンとは、安く買い叩けるメーカーを寄せ集め、場当たり的な工事をすることではなく、設計時から起こりうる、あらゆることを想定し、無駄を排除し、素材の性能を高め、効率を追及することではないでしょうか。
設計時からしっかり計画されている構造物は、仕上がりも美しく、あらゆることに配慮された機能美さえ感じることがあります。
淘汰が進む建設業界ですが、資本力や会社の看板ではなく、今だからこそ、将来の地球環境も視野に入れた設計、施工を行うことが、ここに立つものの使命だと感じています。

デザインとは、イニシャルコストや意匠だけでなく、トータルマネジメントされた美しい機能美(適材適所)であってほしいと願う次第です。