2008年12月29日月曜日

今年もお世話になりました

sai-BRANDブログをご覧の皆様

今年も大変お世話になりました。
2008年4月に不動テトラよりリバースウッド事業を分離独立させ、早9ヶ月。
分離後も提携させていただいた不動テトラさんと随分仕事もさせていただきました。
新たなお取引先様も増え、従来の「リバースウッド事業」から「sai-BRAND」へのシフトがはじまりました。

今年は「資源であり続けるモノづくり」をテーマにsai-BRANDの周知を図ってきました。

それ故、厳しいコスト競争に巻き込まれることなく、設計の意図を表現できるプロジェクトを遂行することができた気がします。

来年は民間建築プロジェクトへも積極的に参入しますが、より一層厳しさが増す市場ゆえ、心を新たに取り組みたいと思います。

年明け早々から写真のプロジェクトの製作、施工に入ります。
構造物を構成する全てのパーツをリサイクルできるよう溶接、めっきを極力減らした設計に取り組みました。
新年のブログは、この現場レポートからスタートしたいと思います。


来年も皆様にとって良い年になりますように・・・

2008年12月17日水曜日

マリンランバー™

最近、デッキや橋梁の改修工事の相談が増加してきています。
弊社の開発した「リバースデッキ工法」は、老朽化したデッキの既設木材を原料として、再生木材を製造し、現場に戻すというものですが、老朽化したデッキのほとんどが、その下地の劣化が原因です。

改修の提案を行う際、「なぜ、既設構造物が劣化したのか」という原因を診断し、同じことを繰り返さないような構造を提案しています。
劣化原因のほとんどが下地設計の問題のため、ここで登場するのが弊社のマリンランバー™です。

もともとは弊社リバースウッドデッキシステム沿岸仕様の根太として開発したものですが、「腐らない」「水を吸わない」「軽い」「変形しない」「容易に加工ができる」といった夢のような素材です。

それもそのはずで、材長方向に体積比の50%ものガラス繊維が入っており、それを発泡プラスチックで固めている素材だからです。
しかし、申し訳ありませんが、少々コストが高いのがたまに傷・・・・(笑)

最近このマリンランバーへの問い合わせが増えています。
上に羅列した通りの性能を持っているため、改修計画にもってこいの部材なのです。

また材料の寸法も、規格サイズはありますが、基本的に原木から切り出し成形しますので、希望のサイズで納品することが可能なのです。
新築時にはあった製品が今はないということが良くあります。
自由なサイズに成形できる製品は、改修にはもってこいの部材ですよね!
本製品にご興味のある方はお気軽にお問合せ下さい。

2008年12月7日日曜日

港湾遺産に想う

今日はお休みだったので、自転車でお台場まで出かけてみました。
フジテレビの本社前(裏?)に人工海浜があります。
ここへは仕事でよく行くのですが、ビーチの端に江戸時代に造られた「台場」があります。
この台場ですが、ペリーが来航した翌年に着工し、わずか1年3ヶ月で6基が造られたそうです。
当時、太平の世が続いていたわりには、政府(幕府)は驚くほど早い対応をしたと言えます。
現世はいかに・・・


台場の南に鎮座するこの砲台ですが、コンクリートで出来ているのですが(写真で見るといかにもコンクリートですが)、台座には木目が入り、番は鉄のような質感。
おまけに車輪もデコレートされています。
当時から擬木という観念があったのでしょうね。
人間はいつの世も無機質なモノより少しでも温かみがあるものを好むのでしょうね。

100年も前に造られたモノが、今でもこのように立派に鎮座している。
モノに対する価値観が昔と今では大きく異なっています。
エコと叫ばれる世の中、本当のエコとは何でしょう。
時間とコストばかりが優先される今の建設業界。
世代をまたぎ愛されるモノづくりが、文化を残し、
そして本当のエコロジーに繋がるのではないでしょうか。

2008年11月30日日曜日

諫早市こどもの城現場レポート(最終回)

11/28、現場の自主検査へ行きました。
外構のデッキは幕板の取り付けも終え、作業は完了していました。

検査をすると、ビスの打ち忘れが1箇所あったのと、階段の裏面(下から覗くことができる)に、部材番号を記したチョークが残っていたことくらい。

天気予報は「晴れ」でしたが、前夜に降った大雨のため、足場が悪かったことに加え、同行いただいた●洋●業のO氏が雨を持参したため(自称雨男)、隅々に至る検査はできませんでしたが、非常に良い出来と言えるでしょう。

この現場は元請さん、職人さん達にも恵まれ、途中、ちょっとしたトラブルもあったものの、きれいに納まった、良い現場となりました。

後日、取引先に聞いたのですが、この現場には県、市からの見学者が多く訪れており、各方面からご注目をいただいているとのことでした。

1月の竣工検査後、春には開業し、元気な子供たちがここに集うことでしょう。



この自然の中、何を感じ、何を学ぶのだろう。


最後になりましたが、本工事に係わった全ての方々に大変お世話になりました。

常に現場に居られるわけでなく、東京から生意気なことばかりお願いしていたような気がします。

皆様のご努力が、春の開業と共に訪れる元気な子供達の笑顔に報われることをお祈り申し上げます。
またプライベートで訪ねたい場所が増えました。
ありがとうございました。

2008年11月24日月曜日

江戸川区景観まちづくりワークショップ

第1回江戸川区景観まちづくりワークショップに参加してきました。
前日にも沖縄県の北谷町で、地元の設計士の先生方とまちづくりの話をしましたが、今回は我社の「地元」のまちづくりに関するワークショップです。

今回を第1回として、年度内に毎月1回月末の日曜に開催されるそうです。
第1回となった今回は、ワークショップの位置づけ、事務局となられる区役所の職員さん、外注コンサルタントのメンバー紹介があり、参加者を地域ごとに3グループに分け、まちづくりに関する総論を話し合いました。

前日の沖縄のような専門家との検討も大切ですが、今回のような一般区民が参加し、率直な意見を交換できるワークショップは意義がありますね。
私も専門家としてではなく、一区民として参加したのですが、同じ地域に住む者同士が、互いの利害関係を抜きに話し合いができるのですから・・・。

実際の意見交換の場でも、ハードはもとより、ソフトの整備も必要との意見が多かったように感じます。
江戸川区はもともと広大な田園風景が広がっていました。
三方を河川に、南を海に囲まれた平地・・・。
それが江戸川区の地理的な特徴です。
この田園を埋め立てて宅地化された歴史があるため、緑化率は東京23区でトップ。
公園面積も同じく。平均年齢も41歳と同じく23区でトップです。
弊社も江戸川区に拠点を置く際、「都区内一の公園面積」は決め手のひとつとなりました。

これらの統計データを認識するだけでなく、実際の景観を考えてゆくのがこのワークショップの役割です。
専門家としてではなく、一区民として自分達の仕事の役割をみつめることのできるいい機会になればと考えています。

沖縄出張(展示会への出展他)

 
11/22,23に「建設フェアinちゃたん」にブースを出展してきました。
この北谷(ちゃたん)という街は、那覇から北へ20kmほどの距離にあり、アメリカンビレッジを核に、最近、観光客数を増やしている沖縄でも人気の街です。

今から2年前にアメリカンビレッジに隣接する「フィッシャリーナ」のボードウォークの設計・施工をさせていただき、そのご縁で沖縄でもたくさんの仕事をいただけるようになりました。
今回会場に貼ってあった写真パネル「北谷の宝」にそのボードウォークが紹介されていたのを発見した時は本当に嬉しかったです。





2年前に竣工検査を無事終え、安堵している時に、発注者のご担当者様から「ご苦労様でした。このボードウォークは北谷の誇りです」という一言をいただいた時の気持ちにフラッシュバックしました。

そして今後もこのプロジェクトは継続されています。
引き続き誠心誠意取り組んで、利用者の皆様に愛されてゆく施設を造っていきたいと改めて心に誓った次第です。



2008年11月10日月曜日

新型SP種防護柵開発中



某県某市で受注見込みの高いプロジェクトがあります。
確か4~5年前に設計をし、折り込んだ案件です。
公共工事、とりわけ広い公園を建設する土木分野では、計画から実行までこの位の期間がかかるケースも多いのです。
4~5年前と現在では何が違うのか・・・。
まず、折り込んだ本人が独立しています(笑)
一方でこの間に取得した経験から、技術も設計指針も大きく進歩しています。
しかし、鋼材が大幅に値上がっています。
であらば、計画が発注された今、どう対応を取るのか。

「新しい技術を使い、コストを抑えながらも、当時より遥かに良いものを創る」

この新しい技術ですが、ひとりでどんなに頑張っても、そう革新的なことはできません。
そう、重要なのはパートナーシップ。
互いの持ち味を存分に認め合い、新たな領域を目指す。
そんなことを托し、託される企業同士のお付き合いができたら理想的ですね。
まだお付き合いはそれほど長くないのですが、そんな関係になりつつあるメーカーさんと現在、新製品を開発中です。
SP種の防護柵ですが、再生木材とアルミ(または鋼材)を構成したシンプルで機能的な製品です。
sai-BRANDの製品コンセプトは、国内産のリサイクル可能なパーツを、分解、回収しやすい設計で組み上げること。
そしてそれらが将来の資源として再利用できること。
そんな基本理念に同調いただき、互いの製品をブラッシュアップしています。
まだ基本デザインが上がった状況ですが、パートナーと心を込めて製品の開発に当たりたいと考えています。
気持ちよく風が通り、人々が憩う空間ができるといいですね。
FSさん、いいモノを創り出しましょう!



2008年11月4日火曜日

諫早市こどもの城現場レポート

建築工事、外構工事ともに完成が近くなってきました。
この写真は??と思われる方もいらっしゃるでしょうね。
これはリバースウッドを建築物の外壁に使用したのですが、建物の表側が再生木材、裏側がガルバニウム鋼板という仕様になっており、写真はその接線となる壁面です。
「この異質な素材の組み合わせがきれいだな」と感じ、空を見上げて撮影した1枚です。

建物の表側にまわると、このように一面が再生木材の壁となっています。
以前の現場レポートにも記しましたが、ここで使用されている再生木材は、現場に実際に生えていたひのき材を間伐し、乾燥、チップ化したものを原料としています。
文字通り現場の資源を「Re-Birth」した事例です。
この施設を利用する子供たちにも資源について考えてもらえたら・・・と期待するところです。

一方、外構工事の方も順調です。
外構はデッキA、B、Cと3箇所のステージデッキがあるのですが、この写真はデッキB。
建築物から上部の階段で降り、ステージデッキに。そして再び階段を降り林へ。
建物と自然を結ぶ架け橋的な機能を担っています。












デッキB
ここでは少々面白い仕掛けをしています。
写真を見ると、デッキの色が1列ずつ異なって見えませんか?
サッカーや野球をテレビ中継で見ると、グランドが縞々に見えますね。
その仕組みを応用したものですが、具体的な手法は秘密にしておきましょう。
表情に乏しい再生木材に表情を持たせる工夫です。

建築、外構とも、ここまで仕上がってきました。
あとは建築物に付帯するデッキと外構のCデッキです。
次に現場へ行けるのは検査の時でしょうか?
この現場の職人さん達は普段は一般家屋を建築している「大工さん」です。
毎日5~7名の大工さんが施工にあたって下さいましたが、一人ひとりが「考えながら手を動かす」ことのできる優秀な集団でした。
一期一会を大切に、次に彼らと再び仕事をできることを楽しみにしています。

そして心をこめてつくった施設が、諫早市の子供たちの成長の場として愛され、利用されることを願います。


2008年10月30日木曜日

ノエルの倒産に想う

諫早の現場にいる私に取引先からノエルが破産手続き開始の申し立てを行ったと携帯に連絡が入った。
私の幼馴染が取締役をしているからだ。
ウェブを見ると負債総額は414 億円(概算 平成20 年10 月30 日現在)という。
同社は最近、東証二部に上場したばかりだ。
上場には様々な審査があるが、それをクリアしたのはつい最近のこと。
首都圏を中心に幅広く不動産事業を展開していたが、昨今の一連の倒産劇と同様の結末だ。
金融機関や東証は、同社のビジネスモデルを認め、融資をし、上場を認めたのではなかったのか。
内部事情は知る由もないが、複雑化した仕入や商品、会計制度、更には日本の実需には無縁のサブプライムローン問題等、「お客様へ快適な住まいを提供する仕事」があまりにも複雑化しすぎたのではないだろうか。

ただ、民事再生や更生法の申請ではなく、破産手続きの開始を申し立てたことが心配だ。

そんな考察と、幼馴染の彼を想う気持ちは、自分の心の中で同じの位置におけるはずがない。Yよ、今は経営者として、いや人間として今までに経験もしたことのないほどのものを抱えているだろう。人として精一杯の対応をして、難局に背を向けず、蓋をすることなく前に進むしかないと思う。友人として何かできればと思うが、きっと彼なら前に進んでくれると信じている。


=帝国データバンク ニュースより転載=
TDB企業コード:200834071「神奈川・東京」 
東証2部上場で総合不動産業の(株)ノエル(資本金 22億6879万4466円、川崎市高津区二子5-1-1、代表金古政利氏、従業員283名)と(株)ENR(資本金5777万5000円、港区虎ノ門1-4-3、代表奥村秀哉氏ほか1名、従業員16名)の2社は、10月30日に東京地裁へ自己破産を申請し、破産手続き開始決定を受けた。 
申請代理人は渡邊顯弁護士(港区虎ノ門4-3-1、電話03-5405-4080)。 
ノエルは、1969年(昭和44年)9月創業、72年(昭和47年)2月に法人改組した中堅デベロッパーで2007年8月に東証2部へ上場を果たしていた。
東急田園都市線中心に「グランノエル」シリーズのマンション分譲や用地売買を主体に運営、そのほか建売、仲介・管理も手がけ、近年はマンション用地の需要が旺盛であったほか、投資用賃貸マンションや商業施設など不動産ファンド向けの開発物件が好調で年々業績を伸ばし、2007年8月期には年売上高約777億9200万円をあげていた。 
しかし、改正建築基準法による建築確認の遅延、分譲住宅価格上昇に伴う顧客の買い控えに加え、サブプライムローン問題に端を発した金融市場の混乱等、不動産業界を取り巻く急激な変化で、2008年8月期の年売上高は約653億円にまで落ち込み、売買契約の解除等に伴う費用などで最終損益は約54億3000万円の欠損に転落する見通しを発表。
ここ数年は、拡大路線を推し進めてきたことで資金需要は旺盛で、これらを金融機関からの借り入れに依存してきたため、不動産市況の悪化が経営を圧迫。
販売用不動産の販売促進による棚卸資産の圧縮や経営効率化を目指すとともに、資本提携先を模索してきたが実現に至らず、保有物件売却計画の大幅な遅れや借入金の返済遅延、その他未払いの発生など資金繰りはひっ迫し、今回の措置となった。 
ENRは2004年(平成16年)4月に設立した不動産会社。
都心の高級住宅に特化したプロパティマネジメント事業や賃貸・売買仲介を行い、2007年8月期には約9億8000万円の年売上高を計上していたが、ノエルに連鎖する形となった。 
負債は、ノエルが約414億円、ENRが約3億円で2社合計で約417億円。

2008年10月23日木曜日

諫早市こどもの城現場レポート9

出張で福岡を訪れたので、足を伸ばし20日ぶりに諫早の現場を訪ねました。

建築、土木工事ともこの20日の間、天気にも恵まれ順調な進捗です。左の写真は建築工事で、建物の壁面にリバースウッドが使用されています。
1,000㎡に及ぶ壁面なのですが、ここに使用されているリバースウッドの原料は、以前、この地に林立していた杉材です。
通常は、廃棄処分されてしまうものを原料とさせていただきました。
もちろん、普通の製品を製造するのと比較し、時間もコストもかかるのですが、「こどもの城」という文教施設ゆえ、資源の大切さを伝えるべく、再資源化の提案をさせていただきました。
発注者の諫早市ご担当者様も非常に前向きにお取り組みいただき、このような姿として提案が結実しました。
写真手前にコンクリート面が見えますが、11月にはここに水路とデッキも出来上がる予定です。

一方、外構工事も半ばに差し掛かり、階段を除く平面部のデッキはほぼ完了しました。
あずまやの屋根も仕上がり、職人さん達の昼の休憩所となっています。
この現場の職人さんはほとんどが一般家屋の大工さんなので、腕がいい。
東京でPCに向かって図面をひくのも大切な仕事ですが、現場に出て職人さんとコミニュケーションを取り、図面通りに、確実にきれいに納まるよう意見交換をする時間も大切です。
そんな時間が、次なる良いモノを創造する貴重なノウハウに繋がることが多々あります。
良い製品、良い設計、良い施工とどれひとつ欠けても良いモノはできあがりません。
現場の大工さんから製品の製造スタッフまで、モノづくりに係わる全ての人々がきれいに連携できる事業環境を構築して行きたいものです。

2008年10月18日土曜日

風をよむ

久しぶりにセーリングを楽しみました。
学生時代の仲間と月々数千円ずつ出し合って、かれこれ10年以上清水港(静岡県)にヨットを泊めています。

「風をよむ」という経済番組がありますが、ヨットはまさに風をよみ、それを動力として動く乗り物です。

大海に出ると、全てこの先に起こるであろうあらゆる事象を予測して、「」の行動を決断、実行します。
現代はGPSや携帯電話等、船上にいながらも様々な情報を手に入れることができますが、昔は雲をよみ、潮をよみ、風をよみ...つまり自然条件に経験から予測をつけ、大海原を航海していました。






仕事も同じように思います。
現代は通信技術が大幅に進歩し、あらゆる情報を即座に入手することが可能です。
しかし、溢れる情報をどう収集するか、どう判断するかはその人の価値観や積み上げた経験によります。
また、情報だけがあっても、実際にその場で、どう行動できるのか...


通信技術が発達して、情報に恵まれていても、雲をよみ、潮をよみ、船の性能をよみ、今の一歩先の事態に備え、今の行動を決める。
そして、予測した事態となるかならぬか、予測した(悪い)状況下において的確な行動が取れるか取れぬか...
常にこの予測と対処が繰り返されます。

これは趣味も仕事も同じですね。
何事も真剣に楽しむには予測と判断、そしてそれに伴う行動が必要なのだということでしょう。

2008年10月15日水曜日

リスクとセルフディフェンス

沖縄や九州で仕事をよくいただくのですが、一方で、セルフディフェンスをしっかりと行わなければならない事態も発生しています。

これは2006年の記事ですが・・・

■長崎も「5年後破たん」 再建団体転落 知事が厳しい見通し
長崎県の金子原二郎知事は7日、佐賀県が2010年度にも、国の指揮下で財政再建を進める「財政再建団体」に 転落する可能性を示したことに関連し「長崎県も2012年度には佐賀県と同じになる。再度、財政の見直しが必要だ」 と語り、長崎県も財政が破たんしかねない厳しい状況にあることを明らかにした。
同県佐世保市であった県商工会議所連合会議員大会のあいさつの中で述べた。
金子知事は「県はこれまで2回、財政を見直し、行財政改革もやってきたが、今後は(収支不足のために取り崩す)県の貯金(基金)がなくなってしまう」と述べ、このままでは財政再建団体になる恐れがあるとの見通しを示した。

サブプライムローン問題に端を発し、日本でも各地のマンションデベロッパーの倒産、民事再生が相次ぎ、遂にはJ-REIT(不動産投資信託)を手がけているニューシティレジデンス投資法人が負債総額1123億で民事再生手続申し立てをしました。

ここまでくると官民問わず、セルフディフェンスを強化していくしか手はありません。
しかし、私は問題の根本は「実経済と資本経済の乖離」ではないかと推測しています。
ここで敢えてセルフディフェンスと申し上げたのは、「リスクマネジメント=保険」的な考え方が一般化する中、保険自体が実経済と乖離した存在と考えているからです。

ではセルフディフェンスとは・・・
私は実務的にも経営的にも実利が大切だと常々考えています。
建設業で言えば五月雨的な商流(分業)、他人資本による会社支配等、個の意思が法人の傘を被ると目指すべき方向性と異なる方へ向かう事例が世にはたくさんあります。
それゆえ、上場をせず(他者の支配を排し)、信じる技術を売り物にする会社が台頭する時代が来ると考えています。
しかし、上場していなくとも企業ゆえ、会計制度は公平です。
ここでも時価会計等、資本主義を象徴する最たる制度が導入されています。
資産(株式、在庫、退職金積立金etc)が仕入れた額ではなく、決算時の時価で評価されます。
資産ゆえ、増えることもあれば目減りすることもあります。
これは通常の業務を積み重ねたいわゆる業績実績に大きな影響を与えます。
もちろん時価会計で+となれば御の字。
そうでない場合は積み上げた業績から-されます。
企業ゆえ、ある程度の資産を持たねば、健全な経営はできません。
このような現状を考えると、大きな企業、団体で設立時の意思を健全に継続していくことが如何に困難なことであるか推察されます。
そんな中でも、やると決めたからには他人任せにせず、自らの経営資源をつぎ込み、良い仕事をする、そして企業の都合ではなく、人間としてのきちんと約束を果たすこと。
セルフディフェンスとは、まずこんな小さなことからはじまることだと思います。

2008年10月9日木曜日

ご冥福をお祈りいたします

先日、弊社の開催した技術研修会に参加してくれた取引先の新入社員さんがお亡くなりになりました。
faxで訃報が届いたのですが、それを知ったスタッフは皆呆然としていました。

背が高く、笑顔が素敵な若者で、研修会終了後の懇親会では隣に座ってくれ、随分長い時間話し込みました。
大学では建築を専攻していたそうですが、外構施設の面白さに魅せられ、この業界に入ったそうです。
昨今、建設業は若者に敬遠されているますが、彼はモノづくりの楽しさ、これから始まる社会人としての生活を楽しそうに話していました。

出逢いと別れは同じ数だけあり、それは人にとって避けがたい現実ですが、あまりにも短い人生とお付き合いに呆然としてしまいます。

どうか笑顔のまま天に召されますように・・・


2008年10月8日水曜日

合成木材の悪い例

最近、ブログを通じてあらゆる事象を調べています。
HPでは、カタログを眺めるのと同様に、「良いこと」しか掲載されていませんが、ブログではエンドユーザーの声をはじめとする「悪い例」を 発見することができます。
今回は、我々の業務に関連する面白い記事を発見したのでご紹介します。

日比野設計さんという幼稚園の園舎を多く手掛ける設計事務所のブログですが、合成木材の悪い例が紹介されています。

「幼児の城ブログ」2007.03.06 Tuesday「合成木材の悪い例」
これはE社の製品と思われます。
製品名のS(Strand)は綱や紐などを表す英語ですが、掲載されている写真を見るとまさにデッキ材が紐状に分解しています。


一方、合成木材をこういう視点で導入しているという記事もあります。
「幼児の城ブログ」2006.09.08 Friday「園舎とウッドデッキ」


我々のリバースウッドも材温の上昇に対する材長変化への対策は随分と行ってきました。
基準寸法や施工マニュアルを遵守すれば、この熱膨張への対応はほぼ完璧な状態までコントロールできるようになっています。
しかし、最近は、熱膨張よりも水分を吸収した際の膨張が大きいという実験結果が出ており、この対策もしっかりして行かなくてはなりません。

特に床下の湿気対策は重要な鍵になってくると思います。
基本設計時には水勾配や排水構造が正確に判断できない案件が多いと思いますが、デッキを仕上げれば良いという概念ではなく、施主へ下部構造も提案する(確認する)等、「ひと手間」を加えることにより、我々が提供する製品の本来の性能が発揮されます。

製品開発、提案営業、設計、施工、メンテナンスを一貫して行う我々のグループならではの「質の高い仕事」を提供していきましょう。

(社内イントラネット掲載記事より転載)

2008年10月3日金曜日

諫早市こどもの城現場レポート8(工事前半最終回)


現場を終え、19時長崎空港発の便で東京へ帰ってきました。
事務所へ帰り、一部設計変更が発生した箇所の構造計算を終え、ようやく今、一息つくことが出来ました。
公共事業の場合は、今回のように設計変更が発生した場合は、経験値ではなく、しっかりと書類を提出していかなくてはなりません。
明日、現場の協議会が開催される予定だそうで、そこに間に合わせる必要があったのです。

9/25から10/3まで、都合9日間現場にいたことになります。
私は技術指導という立場で出向いたので、リバースウッドの管理基準を現場に伝えることが業務です。
それにしては長かった・・・
と、疲労が蓄積しました・・・

方向性は決まったので、あとは現場の優秀な職人さんたちに全てを託しましょう。
賢ちゃん、あとは頼んだよ!

工事が後半戦に突入した頃にまた現場の様子をお伝えします。
その頃はツクツクボウシも鳴きやんでるんだろうな・・・

2008年10月1日水曜日

諫早市こどもの城現場レポート7

今日から10月に入りました。
昨日、おとといの台風による大雨が嘘のように晴れ渡り、絶好の現場日和です。
現場は、今日からデッキ材の貼り込みが始まりました。
鉄骨ベースなので、特段、シビアにレベルを取る必要もないため、単純にデッキをビスで固定するだけです。
しかし、ここで使用している根太はt3.2という根太には十分過ぎるほどの厚さです。
先日も、この根太にφ15mmの孔をあけるのに苦労をし、結局、アトラーという工具を導入した経緯があります。

ここでsai-BRANDの鋼製下地専用ビス、製品名「どりどり君」の登場です。
どりどり君の規格は 六角孔M6*45(SUS410:ディスゴ処理) となります。
再生木材の熱膨張による伸縮応力に余裕を持って対応するために、この規格になりました。


標準仕様の根太はZAMのt1.6ですが、これはものの3秒程度で固定されます。
さて、今回のt3.2はどうでしょうか?
下孔なしでチャレンジしましたが、ほんの5~6秒で固定が完了しました。



このどりどり君のせん断力は1本あたり約2tもあります。
デッキシステムの中では、デッキ材とこのビスだけが表面に出てくる部材です。
ほんの頭をのぞかせるだけですが、ビスラインもデッキのデザインの重要な要素です。
こだわって開発をしましたが、こんなところで報われました。


2008年9月30日火曜日

諫早市こどもの城現場レポート6

昨日、今日と、こちら長崎県諫早市現場は台風のため、大雨が降り、現場は中止になっています。
しかし現場は稼動していなくても打合せはあるのです。
今日は防護柵メーカーのナベシマさん、パーゴラ、東屋を製作した槌絵さんとの打合せ。
両社とも北九州市の企業で、エコウッド社が近いこともあり、再生木材の取り扱い経験も豊富です。
今回も非常に質の高いモノを製作してくれました。
予報によると明日は台風一過の晴れ!
ようやくデッキ工事に入ることができます。

2008年9月28日日曜日

諫早市こどもの城現場レポート5


今日は現場に入って5日目です。
日曜ですが、出かけられずホテルの部屋に閉じこもり、図面を描いています。
昨日の問題解決を「技術的にこうしましょう」と示すための図面です。
他社の描いた図面と自社の図面を合成する時、弊社のキャドソフトと互換がとれない場合があります。
そんな時、dxfというファイル形式に変換し、イラストレータというソフトで互換をさせるのです。
このイラストレータですが、元来は文字通り、イラストレータさんやデザイナーさんが使うソフトですが、こんな合成の作業や、図面のパーツに色を付け、分かり易くする等、結構使えるソフトです。

しかし、今回の現場で予定していた唯一の休日も、この作業のために返上です。
まさに休日を返上しての作業ですね。
来週末はゆっくりできますように・・・

2008年9月27日土曜日

諫早市こどもの城現場レポート4

今日は下地の仕上げです。
理由があり、階段の下地材の設計変更を申し入れ、世にも珍しいこんな形状になりました。


鋼材(ZAM□75*75t3.2)にマリンランバーを三角形に加工したものを専用ボンドとビスで固定しました。鋼材に付着している剥離材(オイル)を拭い、マリンランバーに接着剤を塗布し仮止めし、せん断が2tあるビスで2箇所を固定しました。
作業効率も良く作業も順調に進みました。しかし、少々問題が発生した箇所があり、その解決に昼一から20時までかかってしまいました。
しかしこんなトラブルも現地で関係者の意向、技術的な視野を含め解決してゆくのが現場です。

日本の建設業においては全てをトータルで自社の手で行うことは難しくなっています。あの時、ああいう風に言っておけばよかった等、後悔は尽きません。しかし、トラブルも誠意を持って自社だけではなく仕事の成り立ちを考え、結果を判断する。こんなことが大事なんですね。ちょっと自重気味の今日でした。

2008年9月26日金曜日

諫早市こどもの城現場レポート3

今日はこんな景色をご紹介します。
左に見えるのが有明海。
そこに一文字に走るのは・・・・
例の諫早の干拓事業の産物でしょうね・・・

何故今日はこんな高いところにいるのかというと。

建築物の外壁に再生木材を貼りこむのですが、そこで使用する部材を屋根に吊り上げているのです。
ここでの私の役目は、クレーンのオペレーターさんに、無線で指示を出すこと。

いつもこの役割で感心するのは、全く見えない箇所に荷を運ぶオペさんの腕です。
無線で指示をする人の指示に的確に対応するのが彼らの役目ですが、いつも組んでいる人とならまだしも、私のように出張先の現場で初対面にも係わらず、それをやってのける彼らの技量と集中力には毎度のことながら感心します。
もちろん、指示を出す方もクレーンの操作の基本を知っていなければならないのですが、言語の違いや建築、土木の違いもあります。

玉掛け(荷を固縛する人)、クレーンオペレータ、指示者、玉掛け(荷をほどく人)とそれぞれが連携して素早く安全に作業を行います。
今朝、長崎のとある病院改築工事の荷降ろし中に、作業員の方がトラックから荷崩れをおこした鋼材の下敷きになり亡くなったそうです。
昼前にそんなニュースを聞いてすぐの作業だったので、より緊張感が高まりました。
建設現場で働くと人命に係わる工種が多いことにあらためて気づきます。
亡くなられた作業員さんのご冥福をお祈りするとともに、全国の現場の皆さん、慣れた作業と過信せず、今一度初心にかえって仲間との連携、信頼を強くし、お互いいいモノづくりをしましょう。
そして建設業で働きたいと思う若者が増えるといいですね。

2008年9月25日木曜日

諫早市こどもの城現場レポート2

現場レポート2日目です。
昨日は防護柵(支柱)、シェルターという立面の施工を行いました。
今日はデッキの下地となる根太の施工を行いました。
といっても、広い工区の1施設の施工が始まったにすぎませんが・・・。
ここに納品した根太材はzam□75*75*6000 t3.2
このt3.2が曲者なのです・・・

材料が贅沢過ぎる。

構造計算をするとここで設定されている加重条件では、t2.3で十分すぎるほどの強度が出ます。
このtというのは鋼材の肉厚を示します。
厚くなれば強度が増しますが、同時に加工は困難です。
孔のひとつを空けるのも大苦労です。



この設計を、製品を採用いただく時に
構造計算を行い、t2.3へのダウンサイジングを提案したのですが、
鋼材高騰の折、承認をいただけず、現場での苦労を強いられました。


何が正論かという議論は、そこに関与する方々の立場により異なるので言及はできませんが、 この現場の場合、私の立場からすると過剰設計です。
あの時、もう少し強く提案をしていれば・・・・と現場で後悔することとなりました。
それでもそんなことには全く罪のない職人さんたちは、現場で創意工夫をしてくれます。
しかし、創意工夫の範囲であれば済めば良いのでしょうが、無理をさせては事故につながります。
適正なものをきっちり確実に施工する。

何が適正か・・・
それは立場により異なります・・・・

話は異なりますが、麻生さんが総理になり、閣僚を自らの声で発表しました。
時を同じくして原子力空母「ジョージワシントン」が、
私の故郷である横須賀へ入港しました。
その横須賀では、小泉さんが政界を引退し、次男に地盤を引き継ぐことを表明しました。

何が適正か・・・・

地球規模で考えると、私の現場で抱えている問題は小さな問題なのかもしれません。
しかし、小さなことが重なり大きな波となるのが世の中の定めです。
皆が抱える小さな城、問題を大きな視野で見て、世の中にとって適正な判断ができれば
もうすこし良い世の中ができるかもしれませんね。

小さなことから頑張ろう。

現場では小さなことですが、沢山のことを学ぶことができます。
そんな小さなことを設計に経営に反映し、少しでも良い世の中を創るお手伝いができればと思います。

2008年9月24日水曜日

諫早市こどもの城現場レポート1

本日より長崎県諫早市の「こどもの城」の現場に入りました。
これはかれこれ3年前に設計をした物件です。
当時は、植林された杉林の現場で、地盤の勾配も何も把握できずに図面を作成したので、プロの方が見ると「ゴツイ鋼材を使ってるな!」と思われることでしょう。

今月一杯、この工事の施工監理を行いますので、更新できる限り、現場の状況をご紹介しようと思います。

この工事の概要は、
建築工事・・・・壁面再生木材化粧工事、デッキ工事
外構工事・・・・デッキA,B,C、パーゴラ、東屋、他

上の写真は、本日スタートした外構工事のデッキAです。
鉄骨構造上にパーゴラ、ベンチ、防護柵を取り付けました。
下の写真は施工前の鉄骨構造です。




2008年9月22日月曜日

ジャグジーデッキ改修工事

横浜のとあるフィットネスクラブのジャグジーデッキを改修しました。
下の写真は改修前のもので、他社の再生木材が使用されていますが、
デッキ材が波を打って、さらに白華現象を起こしていました。

再生木材も設計、施工を誤るとこんな症状が現れます】クリック:拡大表示


下部構造を見てみると、ジャグジーという「水場」にも係わらず、杉材が防腐処理を施していないまま使用されています。


【防腐処理を施していない構造部】


再生木材は、メーカーにより異なりますが、基本的に原料となる木材をパウダー状に粉砕していますので、いわゆる“繊維”がありません。
よって、ハードウッドのような強度は求められないものの、「棘(トゲ)が出ない」「ささくれを起こさない」等の安全上のメリットが享受できます。

このジャグジーデッキの場合も、室内プールに隣接しているため、利用者が素足でご利用になられます。
それゆえに現設計も、再生木材の「機能」を評価し、採用されたのでしょう。
しかし、現実としてはこのような状況となり、改修が必要となりました。
では、何故、再生木材がこのような症状になってしまったのでしょうか?


木材劣化診断士の見解から、想定されるのは次の2点です。
①下地構造
②デッキ材の材寸と目地のアンバランス

まず、①ですが、
本施設はジャグジーデッキです。
当然のごとく、水への対応を施さなくてはなりません。
ところが、現設計では前述の通り、柱、大引、根太という下地構造に「杉」が使用されています。
それでもせめて防腐処理がされていれば、もう少し寿命は延びたかもしれませんが、
根太材に、いわゆる「未処理」の角材が使用されていました。


【腐朽した根太材】


床板を留める根太材がこの状態では、当然のことながら、床材は固定されていないも同じ状態となり暴れてしまいます。

次に②ですが、
再生木材の多くは木粉とプラスチックの混成材です。
木粉をプラスチックで覆っているので、劣化しにくくなっているのですが、
他方、プラスチックが混成されているので、熱膨張を起こします。
熱膨張の係数は各社により異なりますが、
この熱膨張をどう制御するかが設計、施工の鍵となります。

この膨張、いわば伸縮ですが、
弊社では、夏(高温時)の伸びと冬(低温時)の縮みを勘案した設計、施工を行っています。
設計的な要素としては、基準材長を2mに設定しています。
これは、デッキ上をピンヒールでご利用される方を想定し、最大5mmの目地管理を基準としているためで、
夏冬の材の表面温度の度が約50℃となるため、この温度差で伸びが最大5mm以下となる材長設計を行っています。
施工的な要素としては、施工時の材温(材長)管理が挙げられます。
弊社の施工管理基準は日に4回の材長測定を行い、測定した材長により当該時間帯での目地幅を決定しています。
つまり、「材料が熱により伸びている状態であれば、目地を詰め、縮んだ状態であれば目地を広げる」具体的な指示を施工する時間帯ごとに定めているのです。

これを行わず、天然木と同じように目地を確保せず施工してしまうと、膨張した材料が互いに押し合い、冒頭の写真のような症状として現れるのです。


【今回の改修では根太にzam鋼板を使用】


また、最近、「デッキの目地から硬貨(コイン)が落ちるため、目地をなくしてくれないか」という相談を受けることがあります。
しかし、残念ながらコストアップなしに、この相談、リクエストに応えることはできません。
というのも、目地はデッキにとって大事な「機能」だからです。

この機能とは、
1.デッキ上に溜まった水分、ゴミを目地を通して下に落とす(水はけ/滑り止め)
2.デッキ下の蒸れた空気を蒸散する

等々が挙げられます。

もちろんコインの落下対策としては、デッキ下の根太間にネットを敷設する等の解決策はありますが、いざ、発注となるとそのコストに躊躇される方が多いのです。
一方で、このコイン落下に限らず、「できます。やります!」という業者の方もいらっしゃいますが、その結果、いたずらに製品寿命を 縮めることにも繋がり兼ねません。

適した材料を、適した手段で、適した箇所に配する。
「適材適所」  良い言葉です。

再生木材の持つ「安全性」「耐久性」を評価して下さるお客様が多い中、「適切な設計、施工があってこそ、この性能が担保される」ことを、sai-BRANDとしてはきちんと告知して行く義務があると改めて感じた現場でした。


【リバースウッドデッキシステム標準仕様 ビス仕上げ】

・デッキ材:138*20(中空材)

・ビス:どりどり君 M6*45(SUS410)

・根太材:70*40 t1.6/40*40t1.6 ハット型根太(ZAM)

支持脚:HOLLY HTZ-100BP(ZAM)

2008年9月6日土曜日

木材劣化診断士講習へ参加して

9/5(金)の午後、午前中にsai-BRAND研修会を終えた足で
今度は教わる側の講習会に参加しました。

「木材劣化診断士」講習会。
あまり聞きなれない資格でしょうが、
我々にとっては欠かせない資格です。

老朽化した木材構造物が、
「構造的」にどこまで痛んでいるるのかを診断し、
まだこのまま共用しつづけることができるのか、
メンテナンスが必要なのか、
はたまた即座に共用を中止すべきなのか。

いくつかの非破壊試験を行い、
上記のレベルを判断し、その対策を講ずる。
これが木材劣化診断士の仕事です。


sai-BRANDの代表的な技術のひとつに
リバースデッキ工法という独自の工法があります。

これは老朽化し、危険な状態にあるデッキを診断し
メンテナンスし、安全を保てるものであれば
具体的なメンテ方法を提言し、
そうでなければ、既設のデッキを九州工場へ運搬し
原料とし、再生木材を製造し、現場へ返す工法です。

いずれにしても、なぜ、高い投資を行ったデッキが老朽化したのか。
この原因を診断することから始まります。

この資格を取得する前は、
私個人の「主観」で判断し、レポートを書いていましたが
この資格を取得することにより、
診断方法、結果に客観要素を加えることができるようになりました。


今回の研修は、22年前に設置された木製遊具の診断を行い
まさに実戦を通じての研修を行いました。


■含水率計を用いて、構造材に使用されている木材がどのくらい水分を含んでいるのかを測定します。
 ちなみに日本(本土)の場合、平衡含水率は14%程度です。


■触診や打診、含水率の測定により、あやしいと思われる部分に超音波を当てます。
 音波が早く帰ってくる箇所は、木材組織が密で「問題なし」。
 遅い箇所は疎で「内部が腐朽している可能性がある」と判断されます。


■さらに怪しい箇所には直径1.5mm程度の針を、電動ドリルで打ち込み、そのトルク変動を観測する方法で内部組織の劣化具合を診断します。




このように、木製構造物を破壊せずに、その「状態」を診断する非破壊試験を行い、
現状に提言するのが木材劣化診断士の業務です。

日本人は「木」が好きなのです。
皆さんの生活でも、周りを眺めて見てみると
たくさんの木材が使われていることに気付くでしょう。

「木」は自然素材ゆえに、不思議と「気持ちが落ち着く」効果があります。
木は建材となっても呼吸し、常に膨張・伸縮を繰り返します。
そんな「木の特性」を理解し、設計され、現場に納まっているものは
長い長い時間、そこに鎮座してくれます。
ところが、そうでない場合、
「あっ」という間に腐ってしまうこともあります。

水に強い木、棘(とげ)が出にくい木、摩擦に強い木、害虫を寄せ付けない木etc...
木にもたくさんの種類があり、それらの特性を理解し、
その個性が発揮できる部位に使用する。
これが経験から来る極意です。

「適材適所」
私の一番好きな言葉ですが、
これをしないと
せっけくの高価な材料も無に帰してしまいます。

これは「木」から生まれた言葉と想定されますが、
人も同じですね。
その個性が発揮できるよう配する。

しかし、なかなかそうはいきません。
人間も定期的に劣化診断をしなければ
期待される耐用年数を過ごせない今日この頃・・・

人もモノも永く良い状態を維持するには
定期的な診断が必要なのかもしれません・・・

2008年9月5日金曜日

製品・技術研修会(参加御礼)



9月4日、5日の2日にわたり、弊社の製品・技術研修会を開催させていただきました。
不動テトラさん、興生建設さん、ツカ・カナモノさん、トッパン・コスモさん、三洋工業九州システムさん、風憩セコロさんからたくさんの方々にお集まりいただきました。

弊社とモノづくりのコンセプトが非常に近い、風憩セコロさんと防護柵やてすり、クリーンエネルギープロダクツを共同開発、販売して行くことになり、まず第一弾の製品説明会を開催したわけですが、これに加え、9月1日から仕様変更をしたデッキシステムの説明もさせていただきました。

sai-BRANDは、「資源であり続けるモノづくり」をテーマにしていますが、これは単にビジネスモデルとしてだけではなく、営業(販売)、設計、製作、施工、メンテナンスに係わる全てのメンバーが連携しなければ叶えることのできないテーマです。

「高質なモノを高いレベルで施工する」ことによりメンテは減ります。
他方、「メンテナンスやトラブルを設計にフィードバックすることにより、高質なモノづくりに反映できます。
これらの全てを一社で行うことは、実質的には無理でしょう。
なので、sai-BRANDはモノづくりに係わるメンバーが連携し、テーマの実現に向け動きます。
研修会はその一貫。

今回も九州や大阪の遠方よりたくさんのメンバーが参加してくれました。
下半期に向け、更に連携を強化し、互いに発展しましょう。

※今回の研修会に風憩セコロさんに入社したばかりのWさんが参加してくれました。
 若い新人はいつ見ても爽やかで、未来を感じます。
 お互い地球の未来へ向け、できることを精一杯やっていきましょう!

2008年9月3日水曜日

仕様変更のお知らせ(標準仕様ビス仕上)


平成20年9月1日で、リバースウッドデッキシステム標準仕様の構成パーツを一部変更致します。

・変更の概要
従来の70*40*5400t1.6(ZAM鋼板)を新型80*40*4800t1.6(ZAM鋼板)に変更しました。
これに伴い、支持脚の根太受プレートを大型化(110→120)に変更しました。

■変更した仕様(下地レイアウト)


従来の仕様



・仕様変更の背景
昨今の鋼材の値上がりをダイレクトに売価に反映すると15~20%の値上がりとなります。
そこで弊社では、製造委託工場を替えるとともに、根太の形状を大型化することにより、支持脚ピッチを広げ、支持脚の部材点数を減らし、システム全体の値上げ幅を5%以下に留めることとしました。
もちろん構造計算、実地試験も完了しています。
根太の天端幅を広げることにより、施工精度もより向上します。

※尚、標準仕様ノンビス仕上、沿岸仕様につきましては変更はございません。

2008年8月26日火曜日

沖縄出張(老朽化したデッキの改修とリース)

真夏の沖縄に出張してきました。


今回は某所の老朽化したボードウォークの改修依頼です。
2年前に設計施工させていただいた「浜川漁港ボードウォーク」の評判が良いようで、
また、弊社独自の「リバースデッキ工法」「グローイングアップリース」に施主様が興味を抱いて下さったそうです。

この「リバースデッキ工法」は、老朽化したデッキを改修する際に、既設の木材を原料として再生木材を製造し、現地に戻すといった究極の地産地消のビジネスモデルです。
(詳細はwebsight http://www.sai-sai.net/baseplan/rebirthdeck/index.html



また「グローイングアップリース」は、従来、工事発注されていた外構施設を10年のリースで整備するというもので、10年後の改修の際、資材を産廃処理をせず、再資源化するという「地球にゴミを残さない」ビジネスモデルです。

資源の少ない日本の縮図が沖縄なのではないでしょうか。
弊社では、単純にエコ素材を扱うだけではなく、創りだした製品が資源として受け継がれる製品、技術の開発を行っております。
沖縄の厳しい自然環境の下でも期待寿命を全うし、そして再度、資源として蘇る。

そんな提案を続けて行きます。
http://www.sai-sai.net/protestad2/index.html




前の記事(リバースウッド施工要領)には、写真の浜川漁港施工時の動画を掲載しております。
この施設は、平成22年のオープンに向け、北谷町が先進の運営形態を企画し事業を進めておられます。

北谷町フィッシャリーナ事業HP
http://www.chatan.jp/project/fisharea/top_page.html#top

新しい沖縄の姿に期待しましょう。


2008年8月18日月曜日

リバースウッドデッキシステム施工要領ビデオ(PV)



沖縄県北谷町(ちゃたんちょう)に平成18年度に施工した約2,400㎡のボードウォークです。
リバースウッドデッキシステム標準仕様、沿岸仕様をスペックしています。

このPVは現場の様子と施工方法を紹介したものです。
現場の職長が自ら編集し、現場が終わる時に贈ってくれました。

施工時期は7,8月。
夏の沖縄の紫外線はもの凄いものがありましたが、現場には心地よい風が吹き抜け、
夜は気の合った仲間達と泡盛(シマー)で体を癒し、沖縄の虜になってしまいました。

沖縄の海際でも何のトラブルもなく、まさにメンテナンスフリーを実現したボードウォークです。
sai-BRANDの代表事例となりました。


2008年8月11日月曜日

ご挨拶




この度、webサイトではお伝えしきれないリアルタイムの情報を

本ブログでお伝えさせていただくこととしました。

私達、sai-BRANDの目指すフィールド、思考を

お伝えできれば幸いです。

平成20年8月

saiグループの代表的な設計・施工例
【沖縄県北谷町 浜川漁港ボードウォーク】













■sai-BRAND本部■
〒134-0091
東京都江戸川区船堀3-5-26Tガーデンスクエア2階
tel:03-5879-5360 fax:5879-5361
株式会社堀建商sai事業部

■sai近畿■
〒663-8179
兵庫県西宮市甲子園九番町13-25
興生建設株式会社sai事業部
tel:0798-48-3450 fax:0798-41-4665

ご意見、ご質問等は、 info@sai-sai.net までお願い致します。

某マリーナ様 デッキ&シェルターパーゴラ(東京都)



【提案したイメージパース】
【完成写真】

東京都内にある某マリーナ様より、マリーナ内の一番景色の良い場所へ休憩施設を提案してくれるようオファーがあったのが今春5月のことでした。

この仕事を営業してきたのは弊社Hマネージャー。
前職で、このマリーナの桟橋工事を提案し、実現した実績を持っていました。
オファーを受けた時から既に完成引渡しの期日が7/26とされ、しかも2社のコンペです。

早速、マリーナでGWに開催されたイベントに参加し、ボート、ヨットのオーナーさん達が実際にどのような使い方をするのかを把握し、早速、社内でブレストを行い、イメージを作成しました。

Hマネージャーの努力により、コンペに勝ち、そこから測量、詳細設計、地盤改良、基礎工事、デッキ工事、シェルター工事と目が回るような日々が過ぎました。


写真のデッキはリバースウッド(再生木材)で、しっかりとした設計、施工を行えば、メンテナンスの必要はありません。
天然木材は紫外線による劣化で、施工後、半年もすれば灰色に変色しますが、この材料は色落ちもほとんどありません。
天然木の退色(灰色)も、私自身は好きですが、メンテナンスに手が回しにくい業種には再生木材の方が良いのではないでしょうか?

写真のシェルターの素材は東京ドームの屋根と同じ素材で、防火性能のみならず光触媒技術を採用しており、強く、美しいという機能を持ちます。


竣工、引渡しを期限内に終え、7/27には無事にデッキ竣工祝いのイベントが開催されました。
私達もイベント当日は、オーナーさん方に素麺や飲み物をお配りする露天商に転身し、オーナーさん方々に「いいものできたね」「ここは本当に涼しいね」等と直接感想を聞かせていただきました。
前職では公共事業が多く、エンドユーザーの声を聞く機会には恵まれませんでした。

「本当に望まれるものを望まれるように造る」

言葉にすると簡単ですが、そこには予算、工期、資材、デザイン、天候etc..様々な要素が絡み合い、最終的にひとつの形になり、そこに全てが結実されます。
そんな建設業では当たり前のことを再度、元請という立場で認識させていただきました。

某マリーナ様、こんな機会を与えていただき、ありがとうございました。

心を込めて「刻印」を





公園などを歩いているとベンチやパーゴラにメーカーの名前が入ったアルミプレートが取り付けられているのをよく見かけます。
規格のベンチやパーゴラ、フェンス等の新作が出来つつあるのでsai-BRANDでも何かマークを入れることを考えていました。

他と同じことをしても意味がないなぁ・・・
と考えていたところ、ふと「焼印はどうだ!」とアイディアが浮かびました。

早速専門店にオーダーをし、先週、品物が届きました。
ハンダゴテの先端に真鍮製のロゴマークが取り付けられています。
通電すると、10分程度で真鍮のヘッドに熱が伝わり、あとは部材に押し付けるだけ。
早速、サンプル部材に押しまくり、刻印の練習をしました。

当分の間は、自分達で設計施工をしたものだけに刻印することにしますが、
この「刻印」という単語の響き、何故か非常に好きなのです。

目立つ箇所でなく、逆に目立たぬ場所に、竣工日の前日くらいにペタンと押したい。
心を込めて・・・

「オフテリア」とは?




我々の設計、生産する製品の市場は、一般的に「エクステリア」と呼ばれています。
エクステリアとは“外側や外観”の意。
対義語はインテリア。

しかし、「エクステリア」って何だか硬い感じを受けませんか?
確かにインテリア製品に比べ、屋外で耐久性が求められる外構製品は、金属製品が多かったり・・・硬いイメージがあります。
どちらかというとユーザー志向というより、メーカー志向の製品が多いような気がします。

そこで、私達は、製品の性能はもちろんのこと、「もっとユーザー志向の製品開発を行いたい」との意思から、その設計、製品化、販売方法まで見直し、「オフテリア」という新しい事業フィールドを創造(想像?)しました。

「オフ」は「オン」の対義語です。
「オン」は現代社会において仕事を指すことが多いのですが、「オフ」は仕事を外れた「暮らし」とでもいいましょうか、「オフテリア」はそんな市場にしていけたらと考えています。

ユーザーの皆様が、室内のインテリアにこだわりを持ち選ぶのと同じように、外構製品もこだわりを持って選べる製品をつくりたい。
素材、安全性、メンテナンス性、価格、リサイクル性・・・
要素を挙げるとキリがありませんが、sai-BRANDの下、オフテリアという新しいフィールドを築いて行きたいと考えています。
※写真は1本脚で立つ「モノ・パーゴラ」。
 パーゴラは藤棚の欧米版。植物を茂らすならこんな形状でも十分です。
 1本でもその機能を持ち、複数を整列させると普通のパーゴラにもなります。
 私達の「オフテリア」の第一歩となったプロダクトです。


※ここでいう「私達」とはsaiの立ち上げに力を貸してくれた前職の同僚。
 彼も今では独立し、㈱グリーニングワークスという会社を立ち上げています。
http://greeningworks.com/
 「オフテリア」を推進する仲間です。

創石(コンクリート擬岩)



創石(そうせき)は、コンクリート擬岩(石)です。
天然石からシリコンで型を取り、コンクリートを成形します。
塗料を使わず、科学変化で着色するため、表面に塗膜を形成せず、岩肌に水が染み込みます。
そのため、自然で美しい濡れ色が演出できるだけでなく、緑化基板としても活用することができます。
岩肌にもよりますが、平均的な岩の厚みは50~100mm程度となり、一般的なトン石を作った場合、30kg程度の重量となります。
屋上緑化やビオトープ、ランドスケープ等、幅広い用途が広がります。
saiは、本製品の開発元の㈱日本石創さんと共に本製品の企画、設計、販売、施工を行っております。
お問合せはinfo@sai-sai.net まで。

サイ・トイレ(ボックス式トイレ)



トイレは現代人にとって、唯一のプライベート空間と言っても過言ではない時代です。 サイ・トイレは、公共の場において、現代人のプライベート空間に安全性と快適性をご提供致します。
あなたの街の安全・快適空間の演出にサイ・トイレを!

・高強度コンクリート(40N/㎡)のボックス式
 →現場での工事期間が短い
・ユニット構造
 →男性用、女性用、男女兼用、多目的用を自由に組み合わせ
・最新のバリアフリー設計
→電動車椅子対応(間口、回転半径)

※老朽化した公衆トイレのリニューアルにも最適です。
 お問合せはinfo@sai-sai.net まで。

保育園屋上デッキ(横浜市)



木をふんだんに設計に取り入れているこの保育園。
子供達が裸足で園舎を走り回れる教育方針がすばらしい。
「夏には2階のテラスに組立式のプールを設置するのだが、普段から食育等で使える空間にしたい」という園長先生の希望により、平成20年6月に70㎡のデッキを施工することになりました。
子供用プールとはいえ、水は1m×1m×1mの大きさで1tもの重量になります。
この荷重を想定し、プールを設置する箇所の下地にはしっかりと補強を入れています。
また、写真のようにサッシはバリアフリーサッシが採用されており、床面とのクリアランスが50mm程度しかありません。
ここで、弊社のマル秘工法を導入。
写真の通り、きれいに仕上がり、園長先生からは、「以前からあった感覚。全く違和感がない」とご評価を頂きました。

園長先生、忙しさにかまけて、まだ、ひとつご提案しなければならないお約束がありましたね。
もう少し、お時間を下さいね・・・

幼稚園プールサイドデッキ(横浜市)






平成20年5月、プール開きを前にデッキが完成しました。
もとは天然木(杉材)が使用されていましたが、棘(トゲ)、腐朽などが発生し、危険防止のために人工芝が敷かれていた箇所をリバースウッドに貼り替えました。
リバースウッドは、木粉とプラスチック(PP)を原料としたハイブリッド木材です。
木を200μまで粉砕して使用するため、トゲやささくれが発生しない「安全」な材料です。
もちろん原料となる木材、プラスチックはリサイクル資源で、エコマークのみならず、JIS A 5741 (木材・プラスチック再生複合材)を認証取得しています。
園児達の笑顔が広がる空間になってくれればと思います。