2010年12月29日水曜日

東京都港区港南緑水公園ボードウォーク(3)       年末ご挨拶

昨日、仕事納めの前に港南緑水公園の現場の確認に行きました。
現場も年内の作業最終日で、作業と並行して年を越すための片づけが行われていました。
我々の担当するボードウォークは、運河デッキの床板の設置がスタートしています。
幅員は約3mで、運河沿いに防護柵、フットライトを設置します。

まだ貼り始めなので、延長が短いため良く判らないとは思いますが、弊社独自の「芝目貼り」で床板のパターンを形成しています。

来年の3月10日が工期なので、年明けから施工は、かなりスピードアップしていきます。
今回は、実施設計と設計監修が弊社の業務なので、年明けは現場のスピードに対応し、より迅速に業務を進めて行かなければなりません。

ここ、港南緑水公園を首都圏における看板プロジェクトにしたいと考えてきましたが、いざ、現場が始まり、形が見えてくると、一層、その気持ちが高まります。
関係者の皆さまと力を合わせ、良い現場、良い品質を提供し、開園後にたくさんの人々に楽しんでいただける空間にしたいと思います。

今年も全国各地で、たくさんの方々にお世話になりました。
また10月1日より、新生、株式会社saiブランドとして事業を分社し、再スタートできたことを皆さまに感謝致します。
来年も早々から、鹿児島で、京都で、静岡で、沖縄でプロジェクトが動き出します。
来年もまた、皆様方と共に全力投球で仕事に取り組めることを楽しみにしております。

2010年12月26日日曜日

東京都港区港南緑水公園ボードウォーク(2)

港南緑水公園整備工事(Ⅰ期)では,ボードウォーク、デッキは大きく3工区に分かれています。
1工区:運河デッキ(運河沿いに約131m続く直線のボードウォークです)
2工区:波型デッキ(運河デッキと取り合う曲線あり,段差あり,スロープありのデッキです)
3工区木道デッキ(内陸寄りにある人工池から立ち上がるデッキです)

前回は,運河デッキの下地工をレポートしました。
今回は,運河デッキ沿いに設置する防護柵の設置工をレポートします。

ボードウォークは,京浜運河側から施工を行い,その端部が波形デッキの基準となります。
京浜運河の下地工を行っていく上で,仮設フェンスが障害となりますので,下地工と並行に仮設フェンスの撤去が必要となりますが,仮設フェンスを撤去してしますとその下は,すぐ運河となり,転落等の危険が伴いますので,対策として新規設置予定の防護柵と入れ替えるよう工事を進めていくこととなっています。


新規設置の転落防護柵は,SP種防護柵「SWSP」で,ボードウォークのデッキと取り合うデッキモジュール製品です。
基礎への固定はベースプレートで,アンカーボルト固定式です。

設置は,まず後施工アンカー打設を行い,打設完了後,仮設フェンスを撤去しつつSWSPを設置していきます。ここでスラブの削孔にあたり,通例では,削孔時のコンクリート粉じんは,ブロアで吹き飛ばしていきますが,隣接施設や運河への飛散を考慮して,吸引していく方法で行います。(写真下)
削孔日は,雨上がりのため,コンクリート粉じんに水分が含み,吸引に手こずりましたが,51基分(204箇所)の打設が完了しました。
削孔後は,M20のボルトを接着材にて定着を行い,防護柵の立て込み準備は,完了です。
防護柵の入れ替えは,フェンスのない空間と時間を極力少なくするため,仮設フェンスの一部撤去→防護柵支柱+縦格子パネルの仮設置の順で繰り返し行います。(上右写真)
仮設フェンスとの入れ替え工事が完了したのち,支柱のレベル・水平調整・笠木の取り付けを行いSWSP防護柵の設置は完了しました。



防護柵の入れ替え工事と並行進行していたボードウォーク下地工は,京浜運河デッキの下地は,完了し,一部デッキ材の搬入も終わりデッキ貼りの準備が整いつつあります。
また波形デッキの下地工も見切りの際根太の設置も終わりつつあり,概ねの外形がわかるようになりました。
年末年始休暇まで後数日ですが,引き続き安全第一に作業を進め, 搬入されたデッキ材を貼り年を越す計画です。
次回のレポートからは,デッキ貼りの状況を報告していきます。

2010年12月22日水曜日

クリスマスプレゼント!


今日、sai本部に嬉しいプレゼントが届きました。

なななんと、去年の「果樹園事業部」に続き、今回は「大阪果樹園チーム」から

ハッサクとスプリングスイーツです!!

saiグループは本当に楽しい方々に囲まれている事をsai認識しました。

大阪営業所長、いつもありがとうございます。
年末や世間の殺伐としたこの時期に大笑いさせて頂きました。

関係各社の皆様、食べ頃に是非お越し下さいませ!!





2010年12月21日火曜日

「瓢箪から駒」 考


この物体をご覧になって、この素材をデッキやボードウォークにしたいと思う人は少ないと思います。
10cmくらいの短いサンプルを触ってみると、安っぽく、更に「軽い」という触感により、より安っぽさが強調されてしまいます。







しかし、これをきれいに敷き並べると・・・・


重量感や高級感を感じませんか?
床板の肩に面を取っていないことも幸いし、エッジが立った感覚があり、
さらに、この墨黒の色調が「和モダン」さえ感じさせてしまいます。

そう、これは先週に取りかかったトラックの荷台の改修工事に使用した表面部材なのです。
「個」としては、その魅力を引き出せないのですが、「集団」として一歩引いて見ると、「安っぽい」が「高級感」にガラリとその印象が変わってしまいました。
人間もそうですが、個人としてはパッとしなくても、集団として輝くことって、ありますよね。
例えれば・・・そう、合唱のような。



この製品は、通常の木工機械で加工も可能です。
カンナによる面取り、座堀はもちろんのこと、この材にビス固定もできそうなほどビスの効きも良い。
「軽い」という特性は、様々な分野で、その魅力を発揮しそうです。



私にとっては瓢箪から駒といった感じでしょうか。
思いもかけず、この製品の新たな可能性を発見したような気分です。
我々が手掛ける公共事業をはじめとする外構製品としての実用にあたっては、様々な試験や検証が必要ですので、安易には製品化はできませんが、「面白い素材」という強い印象が残りました。
この部材にとって、条件の悪い設計を行い、弊社の屋上で暴露試験をしてみようと考えています。



2010年12月14日火曜日

「サービサイズ」という考え方

先週のエコプロダクツ出展中に、弊社の展示物に興味を示された方がいらっしゃいました。
お話をしていると「サービスを含め、資源循環を実現しているものを探していたが、このブースしかなかった」とのお言葉を頂きました。
千葉大学法経学部教授と書かれた名刺を頂戴し、後日、記載されたURLにアクセスすると興味深い内容がたくさん。
その方の名は倉阪秀史教授。
ご専門は環境経済論、環境政策論とあります。

特に興味深かったのが、「サービサイズの可能性とその実現に向けて」と題された論文です。

以下、抜粋。
より尐ない資源エネルギーの消費で豊かな人間生活を支えていくための方策として、「サービサイジング」という考え方が注目されつつある。
サービサイジングは、1999 年に、アメリカのテラス研究所(Tellus Institute)のアレン・ ホワイトらがアメリカの環境保護庁に提出した報告書(White 他(1999))で用いられている 用語である。
彼らは、「製品ベースのサービス提供が現れることによって製造業と伝統的なサービス部門の活動の区別をあいまいにすること」をサービサイジングと表現した。
(中略)
日本においても、経済産業省が、平成17(2005)年から「グリーン・サービサイジング」に関する実証事業を進めている。経済産業省では、「サービサイジング」とは、「これまで製品として販売していたものをサービス化して提供する」ことを意味する用語であるとしており、その中で、環境面でとくに優れたパフォーマンスを示すものを「グリーン・サービサイジング」と呼んでいる。


教授が興味を示して下さったのが、弊社の「グローイングアップ・リース」という外構製品のリースシステムです。
このシステムを企画したのは、マテリアルリサイクルのできる製品を開発し、それをセールスポイントにしているにも関わらず、それを活かす販売方法が存在していないと気付いたからです。
従来通り、製品を製造し、販売し、工事・設置し、所有権を顧客へ引き渡す。
これではいくらメーカーとして良いモノ・技術を開発しても、それを「資源」として循環させることはできません。
そして気付いたのが、所有権を販売サイドにおいたまま、利用権を売るリースという考え方でした。


これが環境経済論の大家、倉阪秀史教授の目に留まったのは幸いでした。
本日、コンタクトを取らせていただき、サービサイズの記事を紹介させていただくことも快く了解下さいました。
私にとっては、孤軍奮闘し、開発、運営をしてきたものですから、何か大きな支えを頂いたような心境です。
サービサイズという考え方に則し、グローイングアップ・リースをより現実的な高みに押し上げて行きたいと強く感じた一日でした。



■千葉大学法経学部 倉阪秀史教授のHP■

東京都港区港南緑水公園ボードウォーク(1)

東京都港区様発注の港南緑水公園整備工事で、リバースウッドデッキシステム沿岸仕様をご採用いただきました。
先週から現場がスタートし、現場はもちろんのこと、実施設計や材料の製造工程管理で関係者は休む暇もない「年度末モード」に突入しています。


さて、いよいよ現場レポートのスタートです。
写真は、ボードウォークの基礎となる土間コンクリートの測量をしています。
本計画のボードウォークは、延長は約100m、最大幅員は約19mと大型のボードウォークというだけでなく、曲線や、段差が多く取り入れられている複雑な構造です。
従って、デッキ下の基礎に設けられる導水勾配も複雑で、今回はスラブドレン式の排水システムが採用されました。(写真縁石コンクリートの左にある溝)
12/6は、護岸法線と、これに基づくベンチマークの設定などの測量を行い、同時に第1便の資材搬入を行いました。

写真左手が京浜運河。これに並行して全延長に幅員3mの横貼りのボードウォークが走ります。
根太はお馴染みの"マリンランバー”です。
ガラス繊維とウレタンを原料としているため、「腐る」という心配のないライフサイクルの長い製品です。
根太芯ピッチは@500mm。
デッキの運河側に防護柵、ソーラー照明灯を設置するため、これらの製品がデッキのモジュール(@150mm)で配列できるよう根太位置に工夫をしています。


いよいよこの仕事を始めることができました。
今回、弊社は、メーカーとして資材を納入することに加え、実施設計及び設計監修を請け負っています。
直接施工を行うことができない歯がゆさはあるのですが、新たなメンバーと共通の価値観を持って現場に挑むことができるチャンスと捉え、各々がプロフェッショナルの仕事ができるよう努力をしたいと考えています。

なので、いつもの現場レポートとお伝えできる内容が少々異なるかもしれませんが、都内の数少ないビッグプロジェクトの様子を皆様に少しでもリアルにお伝えできればと思います。


最後になりましたが、現場レポートの紹介を許可いただきました港区街づくり支援部土木課公園係様に感謝致します。




2010年11月25日木曜日

◆社員募集します◆


sai-BRANDは、海辺、水辺など、人々が憩う空間に向けたモノづくりをしています。

設計や現場だけではもの足りない・・・
自分で設計したものを、自分で現場を担当する。

そんなトータルマネージメントを望む方を募集します。



◎募集職種:営業職/技術職(設計~現場管理)
◎勤務地:東京都江戸川区

◎応募資格:弊社経営理念「資源でありつづけるモノづくり」に共感できる方で 、大学、短大、専門学校卒の35歳までの方
新卒者も相談可

担当:竹内【TEL:03-6808-8822】

2010年11月18日木曜日

沖縄という環境

3日間の日程で沖縄へ出張してきました。
浮桟橋とソーラー照明灯の営業です。
この2製品は、沖縄での需要が大きく、非常に充実した出張となりました。

3日目に少しのゆとりの時間を作ることができたため、平成18年に完工した北谷町のフィッシャリーナを見に行きました。
まだ施設がオープンしていないため、一般開放されたいないのが残念です。

同じ北谷町のアラハビーチには、ソーラー照明灯「ヒラソル」が立派に立っていました。
後ろに見える壁の絵は、旧テトラ社の「シポテックス」という吹き付け工法によるもので、すでに施工後10年以上経過していると思います。
先輩達の残した仕事と隣り合い、当時存在しなかった新製品が並ぶ姿を見て、旧社の仲間を懐かしく思い出した次第です。

沖縄は、紫外線や塩分が強く、ここに設置される外構施設は高い耐久性が要求されます。
これに加え、風速50mを超える台風の猛威、飛砂による摩耗・・・。
外構製品にとってはこの上なく悪い条件ばかりです。

しかし、ここ沖縄を標準とし、モノづくりを進めて行ければ耐久性は折り紙つき。
沖縄での実績が信頼性に繋がると信じています。


2010年11月8日月曜日

水上施設カタログ「MUELLE」:ムエージェ


最近お問い合わせの増えている「浮桟橋」や「水上ステージ」のカタログを発行します。
リバースウッドデッキシステム沿岸仕様で、水際の施設を多く手掛けてきましたが、いよいよ水上施設製品を本格的にリリースして行きます。

sai-BRANDの行動理念のひとつである“際”(水際にも強く、自然と交際していく)をテーマに、従来、日本の水際になかったようなアイディアを盛り込んだ製品をリリースします。


水際は、人間にとってたくさんの危険が存在する空間です。
しかし、反面、多くの魅力を有した空間でもあります。
多様な生体群を見たり触れたり、陸上と違う浮遊感を楽しめたり、何より、遮るもののない開放的な空間が広がります。
すぐそこに見える水上の空間は、吹く風や気温など、陸上と全く異なる感覚を味わうことができます。
そんな空間へ安全に、快適に誘うことのできる施設。

製品名である「MUELLE」:ムエージェとはスペイン語で「桟橋」を意味します。
人道橋、水上ステージ、浮桟橋、アプローチ桟橋など、水上施設をご検討される方は、お気軽にご相談下さい。


2010年10月29日金曜日

新たなる挑戦

足掛け2年の月日を費やし、営業、設計をしてきたプロジェクトの受注が決定しました。
西日本から事業を立ち上げてきた弊社にとって、東京で受注する初めての大型プロジェクトです。
最近は大型施設の計画が少なくなり、今回のようなプロジェクトがすんなりと受注できるはずもなく、兎に角、苦しんだ末の受注となりました。

自分たちで提案し、そして発注者様へ約束をしてきたこと。
それを「人間として、企業として、絶対に履行すること」。
それだけを心の底に置き、パートナー企業とともに諦めずに、努力を続けました。

とはいえ、受注は仕事のはじまりに過ぎません。
決して長くはない工期の中、これから設計をカタチにするための自分たちとの戦いが始まります。
基本設計を実施設計として具現化し、しっかりと現場スタッフとコミニュケートできなければ絵に描いた餅となってしまします。

「現場で起こりうることをあらかじめ想定しながら、設計をする」

実施設計とはPCの中といえども、何分の一かのスケールの実現場なのです。
想像を巡らし、想定し、少しでも品質の高い作品を提供できるよう、
思いを共にする現場スタッフにきっちり伝えることのできる仕事をしなければなりません。

まだ、現場名は明かせませんが、施主様にご了解をいただければ、いつものように現場レポートをお届けさせていただきたいと考えております。

※写真は提案させていただいたパース図



2010年10月26日火曜日

コラボレーション

全国を回る機会が多いのですが、訪れた先には様々な可能性が潜んでいます。
前回の北陸への出張で、出会った商材を商品化するため、技術的な打ち合わせに再度、北陸へ行ってきました。

写真のロープが、今回の素材です。
何の変哲もない、普通に海で使われているロープに見えますが、
まさに「羊の皮を被った狼」とでもいいましょうか、目を見張る性能を持っています。
まだ、その用途や性能をお披露目できませんが、鋭意、製品化を図ります。
全国のsai-BRANDのファンの皆様、乞うご期待願います。

最近、異業種、異分野への仕事に取り組むことが多くなってきました。
これもひとえに、人との出会いによるものですが、オープンマインドで臨み、お互い協力し、良いモノを全力で創り上げる。
コラボレーションは、ノウハウの公開や責任の所在の明確化、互いの協調(違う会社ゆえ、互いの立場で考えること)なしでは成し得ません。
まだまだ、自らの常識を捨てれば見える、「隣の芝」もあるのではないでしょうか。

今日は取引先のリニューアルした素晴らしいウェブサイトを拝見し、触発され、記事をupしています。
これも心のコラボレーション。


2010年10月13日水曜日

敦賀港国際ターミナル開港、おめでとうございます。

昨日、福井県の敦賀港の多目的国際ターミナルが供用開始されました。
新港の水深は-14m、延長は280mで5万トン級のコンテナ船が着岸できるそうです。
新しいガントリークレーンの稼働も開始され、日本海側で最新鋭の設備となったっそうです。
【新港記事:asahi.com】

新しい港を開港するという大きな仕事を終え、関係者の皆さまはホッと胸をなでおろすことができたのではないでしょうか。お疲れ様でした。

この新港の整備に合わせ、近隣のポケットパークにソーラー照明灯「ヒラソル」を納入させていただきました。
新港の入口に位置するポケットパークなので、たくさんの人々が訪れてくれると思います。
駐車場もあり、気軽に磯へ踏み入れることができるよう設計されています。
新しい港の風景を彩るお手伝いができ、嬉しい限りです。
国際ターミナルの開業、おめでとうございます。

2010年10月7日木曜日

コストダウン=機能美


弊社は外構施設の設計、施工を手がけています。
設計を依頼され、一番最初に行うことは、計画地の立地環境の把握です。
縁があり、設計をさせていただくのですから、計画する環境下に、最も適した素材を吟味し、正しく使い、正しく施工することで、美しく、長く愛される施設を造りたいと考えています。
イニシャルコスト(初期投資)の低減はもちろん考慮しますが、最も大切なのはトータルコストの低減だと考えます。

ボードウォークやデッキを例に挙げると、「水平に板を並べるだけ」と簡単に考え、設計、施工されている物件が多すぎるように感じます。
表面にデッキ材が整然を並んでいれば良いと、コストを大幅に下げて、「臭いものには蓋をする」かのごとく設計や施工をされている現場を見て、がっかりする機会が増えています。
そのような現場は、竣工後10年も経たないうちに不具合が発生し、期待寿命を全うできず、結果、“危険な施設”と判断され、解体、撤去されてしまいます。
すなわち、地球に多大なゴミを残すに過ぎない仕事となってしまうのです。
永い永い地球の歴史から見れば、他社の3倍長持ちしようが、小さなことかもしれませんが、せめて、次の世代まで使い続けられ、そして、その施設が寿命を迎えた時には、資源として受け継がれるようなことを考え、当初から、設計、施工を行いたいと考えています。

一方、このような経済の下では、きれいごとばかりは言ってられません。
この時代に於いては、イニシャルコストの低減も不可欠です。
しからば、魅力があり、長持ちする施設を安く造るにはどうしたらいいのでしょう。

その答えとして弊社が出した結論は、「適材適所」という古来からの発想です。
例えば、ボードウォークで最も大切なのは、「下地」として構成される部位です。
構造物の劣化診断を行うと、根太や大引き、支持脚といった“隠れてしまう部材”の性能に対し、あまりにも関心が持たれず設計、施工されていることが解ります。
よくある事例ですが、痛んだデッキ材を剥いでみると、水や湿気が溜まり、“お風呂に蓋をしたような状態”となっているケースが多々見受けられます。
そのような環境下では、デッキ材を固定している根太が腐食するのは無理もありません。
これは部材選定以前の問題で、誤った知識や認識で計画されているとしか言いようがありません。
建設業も分業化され、トータルで物事を考える「質」が低レベル化しているように感じます。
「適材適所」と前述しましたが、施設を設計する上では、まず、設置環境を把握し、そこに「適材適所」な部材選定を行い設計することが、ライフサイクルコストを低く抑える技術だと考えます。
また、コストダウンには、製造時の部材長や、効率的な配列など、生産工場や職人の効率性をも踏まえた、無駄の極力少ないトータルマネジメントが不可欠です。
同時にボードウォークと取り合う防護柵やベンチも、設計時に、そのピッチを工夫するだけで、現場での加工の少ない、美しい仕上がりとなります。

コストダウンとは、安く買い叩けるメーカーを寄せ集め、場当たり的な工事をすることではなく、設計時から起こりうる、あらゆることを想定し、無駄を排除し、素材の性能を高め、効率を追及することではないでしょうか。
設計時からしっかり計画されている構造物は、仕上がりも美しく、あらゆることに配慮された機能美さえ感じることがあります。
淘汰が進む建設業界ですが、資本力や会社の看板ではなく、今だからこそ、将来の地球環境も視野に入れた設計、施工を行うことが、ここに立つものの使命だと感じています。

デザインとは、イニシャルコストや意匠だけでなく、トータルマネジメントされた美しい機能美(適材適所)であってほしいと願う次第です。





2010年9月30日木曜日

「フクイ建設技術フェア2010」

フクイ建設技術フェア2010が福井県産業会館(福井市)で開催されました。
販売代理店の不動テトラさんのブースに間借りをしての出展でしたが、たくさんの収穫を得ることができました。
展示会というのは、時間や雰囲気に追われず、お客様へ説明が十分にできるいい機会です。
また、他のブースを回ることにより、どのように時代が進んでいるのかが手に取るように判ります。
今回は私の古巣である不動テトラの大先輩のご紹介で、非常に可能性の高い素材を見つけることができました。
早速、来週の製品開発会議の議題のひとつに取り上げようと考えています。
建設業は冬の時代が続いていますが、決して不要な産業ではありません。
鋭意努力を重ね、世に役立つ新しい製品の開発に励みたいと思います。



2010年8月25日水曜日

「マリノア」ボードウォーク(福岡市)


1993年に開業したマリノア(西福岡マリーナ)。
このボードウォークは何とも思い入れが深い。
当時は、日本にボードウォークという施設があまりなく、どんな材料を使用したら良いのか、どう設計すれば良いのかから検討をしました。
そして選んだのが日本へ輸入実績のない「スポッテッドガム」というオーストラリアの材料でした。
初めての日本への輸出ということで、現地へ出張し、工場に無理を言い、非常に品質の高いものを選びました。
「丸のこから煙が出る」「釘が打てない」「鉄みたいな木だ」「重い」等など、現場からクレームが続出した覚えがあります。
当時は比重が1.0を超える「水に沈む木」という概念自体が薄かったのですが、今ではハードウッドも一般的になり、少々木に詳しい方ならイペ、ウリン、ジャラなどはご存知ではないでしょうか。


このボードウォークは、数年前に発生した福岡の震災で、基礎地盤が落ちたのですが、板厚のある良い材料だったため、基礎地盤を改修した後に、再度、既設材を敷きなおしたそうです。

今回は毎年東京で開催しているsai-BRAND製品・技術研修会を福岡市で開催したため、足を延ばし、久しぶりにこのボードウォークに逢いに行った次第です。
20年近く経っても、当時、手掛けたモノがそこにある。
そんな幸せ感に包まれ、ボードウォークを眺めて時間を過ごしました。


2010年8月23日月曜日

酸化チタン膜をクルージングボートに装着

TWMに係留されているSオーナー様のご依頼により、弊社のシェルターパーゴラに使用している酸化チタン膜テントを、クルージングボートのフライングブリッジに装着しました。

酸化チタン膜は①太陽と雨の力で自らの汚れを落とす②そのため、透光率が15%という明るい空間を創ります。
有機物を酸化分解するために、汚れが付きにくいというのが特徴。
クルージングボートは、海に出れば潮を、係留中は埃をたくさん被ります。
これらの汚れを太陽の光で酸化分解し、雨で流れ落とすため、メンテナンスがとても楽になることが想定されます。

弊社では、公共事業で良く使用するのですが、この分野での利用は初めてです。
しかし、前述のように「理にかなっている」ため、その効果を期待しています。

私自身もヨットに乗るため、非常に興味が湧く分野です。
Sオーナー様、初チャレンジにご協力をいただき、ありがとうございました。




2010年8月17日火曜日

わくわくの森保育園(横浜市)

横浜市の鶴見区にわくわくの森という保育園があります。
ご縁があって、数年前に園舎の2階のデッキを設計・施工させていただいたのですが、園長先生より、このデッキで過ごす子供たちの写真がメールで届きました。

この保育園の園児は基本的に「裸足」で過ごしています。
もちろん園庭でも。
子供たちの姿を見て、いつも裸足で遊んでいた自分の子供の頃を思い出しました。

現代では、紫外線が悪者のように言われていますが、私はいまだに風邪をひきかけたら太陽の下で昼寝をします。
発汗は身体にとって良いものと信じて疑いません。
これはお年寄りにとってもそうだと思います。
部屋でじっとしているより、外へ出て、日光を浴び、風を感じ、花や木を愛でている方が、精神的にずっと健康的だと信じています。

そんな大切なことを、都会に住むこどもは体験する機会が少なく感じます。
エアコンの効いた部屋でゲームをする。

親にとっては心配事が少なく、自分も楽に過ごせます。


しかし、それで良いのでしょうか?
子供は太陽の光をたくさん浴びて育つのが理想だと思います。
そんな話で園長の山本先生と意気投合し、今年は1階部分のデッキと緑化工事をさせていただきました。


1階のデッキは乳幼児室の前に位置します。
小さい小さい「赤ちゃん」が遊ぶスペースです。


「海際で人々が憩える施設をつくりたい」と考え、現在に至るのですが、こんな形で、仕事を評価いただけると、フィールドを限定する必要などないのだな・・・と痛感します。
事業や仕事は「縁」から生まれます。
「縁」を大切に、真剣に取り組んで行くと、新たなフィールドが広がるのでしょうね。

企業にとって、利益は言うまでもなく大切ですが、それ以上に社会といかに縁を持って関わっていくかを大切に、真剣に考えなければならないなと、ふっと考えさせられる出来事でした。


2010年8月9日月曜日

TWM様レストデッキ


マリーナはヨットやボートを船台に乗せ移動するため、どうしても路盤がコンクリートにせざるを得ないのですが、こんなに緑が密集した場所があり、ここを休憩スペースにしたいという施主様のご意向から、デッキ、シェルター、パーゴラの複合施設を設計・施工させていただきました。

その完成記念として、 先週の金曜日にバーベキューパーティーを開催させていただきました。
盛夏ゆえ、マリーナは繁忙期ですが、たくさんのスタッフさん達が参加して下さいました。
ありがとうございました。

自分たちの設計施工をした物件で、施主様との歓談の時間を取れる。
非常に有意義な時間とすることができました。


夕闇が訪れると、昨年納入させていただいたヒラソル(ソーラー照明灯)が点灯します。
都心からわずかな時間で、こんなにリラックスできる空間があります。
仕事を忘れ、とても寛いだ時間となりました。



境川遊水地公園(神奈川県)

最近、トラックの荷台プロジェクトに夢中となっていて、あまり最新情報の更新ができていませんでした。
この事例は神奈川県の境川遊水地公園のデッキです。
工事期間中から平日でもジョギングや愛犬の散歩を楽しむ方々がたくさん来られていました。

ジョギングの休憩場所にはもってこいの眺望です。

眼下では少年サッカーチームのハツラツとしたプレーを楽しむことができます。
昔は、この炎天下でも大声を出し、白い球をずっと追いかける体力もあったなぁ・・・などと回顧する年齢に近づきつつありますが、こういう風景を見ると、まだまだ現役!と身体にムチを打って頑張ろうという気にもなったりします。
夏の強い日差しが、濃い影をつくっている季節を感じるお気に入りの写真です。

2010年7月6日火曜日

新型フェンスシステムをリリースします

戸建や商業施設向けにフェンスシステムをリリースしました。
素材は鉄+溶融亜鉛メッキです。
フラットバー支柱でベースプレートを挟み込む設計なので、デザインは極めて“シンプル”です。
もちろん施工も容易。
sai-BRANDは、公共事業を中心に事業を展開していますが、昨今は設計施工した現場を見た方からのお問い合わせが増え、このようなきっちりとした仕様で自宅や民間の施設にも対応してほしいという需要がに対応するために、今回のフェンスシステムは誕生しました。


公共と民間とでは何が異なるかというと、それは設計条件です。
たとえばデッキの場合、歩道となるデッキの乗載荷重の基準は500kgf/㎡ですが、公園や建築外構の場合は350kgf/㎡。そして戸建は240kgf/㎡(弊社基準値)となります。

荷重条件は、その施設の利用者数に比例します。
もちろん、たくさんの人々が集まる場所の設計条件は厳しくなります。
従って、製品を構成する部材も大きな断面になり、無骨なデザインとなってしまいます。
逆に戸建等、利用者が少ない施設は、設計条件も軽減されるため、細い、シンプルな部材を使用することができます。
このように、製品を納入する箇所の設計条件を確認すれば「製品」に縛られることなく、そこに似合う見合うモノをお届けすることができるのです。


近年、戸建用のフェンスの素材にはアルミが多様され、鉄を溶接した製品の姿をあまり見かけることが少なくなりました。
このフェンスは、素材を「鉄」にすることにより、“手づくり感”を強く出しデザインしました。
時とともに「ヤレる」美しさ、容易に塗装ができる「手軽さ」が鉄にはあります。
軽いイメージの製品が多い中、手づくり感を味わいたい方にご検討いただければと思います。


今回のフェンスシステムに続き、現在、戸建用のデッキシステムを開発しており、8月にはリリースできる予定です。
お楽しみに・・・



2010年5月11日火曜日

専用ビス:どりどり君(DR6-45)改良につきまして

リバースウッドデッキシステムは、今年7月にいくつかの仕様変更を行います。

本日は標準仕様ビス仕上に使用する専用ビス「どりどり君:DR6-45」の進捗状況をご紹介します。
写真の上:現行モデル 下:新型モデルとなります。

改良根拠は以下の通りです。

1.ねじ山ピッチの変更
・・・根太にt1.6mmの鋼板を使用しているため、引き抜き強度の向上を図るとともに、ネジ山や根太の切削面への負荷を低減する。

2.刃先の形状変更
・・・刃先の形状を鋭角にすることにより、切削初期のビスの安定度が高まり、施工スピードを大幅に向上させる。

3.防錆性能と塗装の相性
・・・SUS410はマルテンサイト系(磁性)のステンレスで、強度を上げるために焼き入れができるのが特徴ですが、それゆえに防錆を施す必要があります。

現行モデルはディスゴ処理(クロムフリー超薄膜型高耐食性表面処理)を施していますが、ビス頭への焼付塗装が剥げやすいというデメリットがあります。(塗装の乗りが悪い)
一方、新モデルはラフレ処理(超薄膜高耐食合金コーティング)を採用しました。
これにより、塗装の乗りが改善され、より環境にやさしく、品質の高い改良が可能となります。


早速、ZAM75*75 t2.3に下孔なしで、打ち込み試験を行いました。
現行品は、刃先が鈍角なため、回転をはじめても不安定なのに対し、新製品は刃が鋭角に立っているため、安定性が高く、インパクトドライバのトルクが「点」で伝わります。
その結果、ドリルスピードは1.5倍ほど向上したと実感しました。

これを証するのが次の写真です。
上が現行品による孔ですが、円周の外側が多少盛り上がっているのがわかります。

下の写真は新製品による孔です。
エッジが立ち、ネジ山がきっちり二山分トラックされているのが分かります。
根太にもビスにも無理なくトルクが伝わり、効率的に切削されている証拠です。

これらの結果から、この試作品をベースに、刃先寸法を多少変更したものを最終形にすることにしました。

この改良をサポートしてくれている株式会社ライテックの荒木氏(左)と菅原所長(右)です。
彼らの手によって、更なる良い製品として生まれ変わることでしょう。





2010年5月6日木曜日

敦賀港訪問

GWに3月に竣工した敦賀港ボードウォーク改修工事の現場を見学に行きました。
完成した姿を「夜」に見るのは初めてでしたが、海際に設置された小型ライトがボードウォークの全長を表し、そのスケール感に感激しました。
旧敦賀港駅舎、レンガ歩道、芝生広場、時計台などが港町の雰囲気を漂わせています。

敦賀港を訪問した夜、そのまま敦賀市内に宿泊したかったのですが、市内のホテルはどこも満員・・・。
後から気付いたのですが「もんじゅ」の本格始動があったのですね。

歴史ある港湾や最新の原子力発電所を弄する敦賀。
昔と変わらず北陸に、関西に、その要所となる敦賀の更なる発展を祈ります。

2010年4月26日月曜日

リバースデッキ工法PV【敦賀港ボードウォーク改修工事】



本年3月に完工した敦賀港金ケ崎緑地ボードウォーク改修工事のプロモーションビデオを元請業者である伊原建設株式会社様が製作してくれました。
本工事は日本で初めて木材をスクラップ控除し、再生木材の資源として使用したもので、エコロジーが叫ばれる今日、非常に意義の高い工事とすることができました。
伊原建設様は、発注者様である敦賀港湾事務所様との連携を非常によく取られており、工事をこのようなPVにまとめて下さり、工法を提案をさせていただいた我々にとっても非常に嬉しい産物をいただくことができました。
また、快く本ウェブサイトへの掲載の許可をいただきましたこと、誠にありがとうございました。
この施設が広く福井県民の方々に愛され続けることを祈っております。

2010年4月21日水曜日

新製品「マルチユースキャップ」発売開始します

先月お伝えした「マルチユースキャップ」を5月中旬より発売開始します。


これは地覆材(緑化桝)をボルト固定する際に空いた表面の孔をふさぐという用途です。
我々の業界では何かとM12ボルトを使用しますが、これを締め付けるソケットレンチが十分に入る径がφ30mmなのです。
本製品の内径はφ30mm、外径はφ40mmなので、余裕を持ってカバーできます。

そして、新たな利用方法として、下の写真のような根太の固定ボルト孔のカバーです。
根太の上には当然、デッキ材が設置されますので、キャップの凸部が浮陸として感じないように、フタの厚みを1mmに抑えています。
キャップをする際に、軽くシールをすると、ボルト固定孔を水密状態にすることができます。
これにより根太の腐食が大幅に低減されることになります。
施設の長寿命化が叫ばれる今、改修提案の武器にしたいと考えています。

この製品を開発しようと考えたのは3月に完工した福井県敦賀港の現場です。
この孔にきちんとコーキングが打ってあった根太は径年後もしっかりと健全な状態を保っていましたが、そうでない根太は、この孔から腐食が進行し、明らかな違いが認められました。

最も使用頻度が高いと予想されるのが、この手すりのエンドキャップです。
リバースウッドφ40mmにドンピシャとフィットします。

そしてあったら便利なのがこれ。
ベンチのレベル調整などに活用しようと考えています。
自動販売機の脚からヒントを得たのですが、ベンチやテーブルの脚にM12ボルトを固定することで簡単にレベル調整が可能になります。
固定型ベンチが多い土木業界では、あまりこの用途は期待できませんが、あったら便利だとお思いになりませんか?

このようにひとつの製品で多用途をこなすため、安易に「マルチユースキャップ」と命名しました。
皆様からのアイディアも是非お待ちしております。

2010年4月17日土曜日

【千住N様邸バルコニーデッキ】

前回の「神業」でレポートした現場が完成し、本日、施主検査がありました。
完成した姿がこれです。
河原泰建築研究室らしい外観デザインです。
弊社で設計施工したのは、2階の屋根の上に見えるフェンスと一体となったバルコニーデッキです。
デザインのアクセントになっていますか?


奥行き、7200mm、幅2400mm、4000mmRの形状で、鋼製の下地にフェンスを取りつけ、クリアー色のポリカーボネートを固定しています。
ポリカが透明なので、写真では分かりずらいかもしれません。


バルコニーへは、吐き出し口から3段でアプローチします。
この階段部の桁と、これと取り合うフェンスの支柱の設計には苦労しました。

何せ、デッキ部分のフェンスの高さがH1100mmで、高さ150mmの階段を2段降りたところですから、そこに設置する手すりの高さはH1400mmとなります。
この高さの手すりをRしている桁に固定し、安定させるのですから・・・。
ま、このsai-BRANDオリジナル手すりの応用力の高さが確認できたのでよしとしましょう。


ポリカーボネートを固定するため、どうしてもバルコニーの内側、外側で同時に作業をする必要があったので、弊社受発注担当者の竹内に同行してもらい、まさに猫の手も借りたい状態での作業でした。
いつも電話でしかお話させていただいていない全国のお客様の皆さま、これが受発注担当の竹内です。
宜しくお願いします。

この現場のすぐそばに、5年前に設計・施工させていただいた「Hair Salon NOHIRA」があります。
帰り道にご挨拶に立ち寄らせていただきましたが、とてもこのルーバーを気に入っていただいているご様子。
「何もしなくてもいいからすごく楽」とは奥様の弁。
今回のN様邸他、この北千住界隈で、4件ほど仕事をさせていただきましたが、すべて紹介は野平さんだそうです。(前述のヘアーサロン)

公共事業が多い弊社ですが、このような現場を終えると、生活の中の製品づくりも積極的にやっていきたいと思う今日この頃です。