2009年1月28日水曜日

焼津漁港ステージデッキ 現場レポート2



昨日までに終えた夥しい数のアンカーを基礎に、本日から鉄骨を組み上げます。
まずは柱を立てるのですが、ここで最も大事なのがレベル(水平)です。
下地となるコンクリートは、雨水を排水するために勾配が付いています。
すなわち、地盤が水平ではないのです。
よって、柱箇所ごとにその地盤の高さを測量するのです。
以前は水糸を張って水平高さの基準を作っていましたが、今はその作業をレーザーで行います。
写真をクリックして拡大していただくと分りますが、海際で作業をしている人がレーザー受光機を持って水平を出しています。


全てのボルトのレベルを取り、このように柱を設置します。
今回の工事は極力亜鉛めっきと溶接をしない設計としましたが、さすがにベースプレートと柱のインナー鋼だけは溶接が必要でした。
柱上部からの雨水の浸入に対応するため、柱とベースプレートの間に隙間を持たせ、排水構造を設けています。
前記したコンクリート地盤の高さの違いは、ベースプレートとコンクリートの隙間となって現れます。
この隙間は鉄骨組みが完了した後に、型枠を組みコンクリートを充填します。



次に柱と柱を結ぶ「大引:おおびき」を設置します。
今回の大引は柱スパンが2mと大きいため、C型鋼の100*50t3.2を背中合わせに2本ずつ設計しました。
もちろん柱と大引は、M10ボルト(SUS304)で固定し、設置しやすく分解しやすい設計にしています。
工場で行った「プレカット」とは材料の長さを切りそろえるだけではありません。
固定するボルトを挿入する穴も工場であけ、現場では設計図に基づきボルトアップするだけの構造で、さながら巨大なプラモデルといった感じです。
これにより、現場の工期が早まるだけでなく、現場でゴミが発生しないというメリットも享受できます。

前記だけでは分り難いと思いますので、部分詳細です。
このように柱の両側面にC型鋼をレイアウトし、上からの荷重をこの2本の大引で均等に受け、その力を柱に伝える構造としています。
大引の天端に空いている穴には「根太」が固定されます。
根太は大引と直交する部材で、デッキ材を留める構造部材です。







根太を仮置きした図です。
昨日までの土台づくりには時間がかかりましたが、プレカットが活き、かなりのハイペースで構造体を組み上げることができました。
ここまで来ると、構造体の最終的な仕上がりが分かりますね。
護岸の端までせり出した開放感の大きなステージデッキのアウトラインが見えてきました。

この現場は大きな公園なのですが、この現場の真横まで、散策路が付いており、毎日散歩に訪れる方々が気軽に声をかけてくれます。
「何を造ってるんですか?」「すごく広いスペースだね」「いつできるんだ?」等など。
毎朝、現場の始まる8時前からお年寄りがグランドゴルフを楽しんでいます。
小さなお子さんを連れたお母さんが散歩を楽しんでいます。
海が好きな人々が気軽に訪れることのできる施設として焼津の新たな名所になるといいですね。
明日からはライターが交代します。
現場からリアルタイムで施工状況をお知らせできればと思います。

焼津漁港ステージデッキ 現場レポート1



1月26日、27日
いよいよ工場でプレカットした鉄骨部材を現場に設置します。
まず、柱を立てる位置の測量を行います。
構造物の外枠となる法線をトランシットを用いてきっちりと出し、これを基準点とします。
次に図面通りにX軸(横軸)、Y軸(縦軸)をそれぞれ2mピッチで追い、その交点が柱位置となります。


このようにX軸とY軸が交わると1辺が2mの大きな四角が連続的に描かれます。
この日は風が体感風速が5mほどあり、非常に寒い。
前日まで海に出ていた私は、寒風に体が慣れていましたが、今まで工場作業をしていた作業員さん達は大変です。
凍える手足を温めながら、測量と墨出し作業を進めました。


測量を行う傍らで、別の作業班がアンカーボルトを組んでいます。
このアンカーボルトは柱を支える大切な部材で、構造物の重量を全てこのボルトで支えます。
規格はM16×230mmで、130mmがコンクリート地盤に埋め込まれます。
このボルトの使用本数は4本/柱なので、柱数116本×4本=464本となります。
この数分、コンクリートを削孔しなければなりません。


深さ130mmの孔をコンクリートにあけ、アンカーボルトを設置します。
写真にある赤いキャップがケミカルアンカーで、ガラスに薬剤が注入されており、ハンマードリルでねじ込むと、ガラスが割れ、薬液が化学反応を起こし急速に硬化していきます。

26、27日は、測量、墨出し、削孔、アンカー立て464本(柱116本分)を終えました。
これを基礎とし、明日はいよいよ鉄骨を組んでいきます。

2009年1月23日金曜日

焼津漁港環境整備事業環境第六地区親水広場 工事スタート

焼津漁港環境整備事業環境第六地区親水広場整備事業がいよいよクライマックスを迎えます。
この春に親水公園が全面オープンします。
それに向け、今回はステージデッキと展望デッキの工事をお手伝いさせていただくこととなりました。

ステージデッキは17m×17mで、高さが1.0m、1.3mの舞台形状。
水辺でのイベント開催等の利用が考えられるため、荷重条件等を十分精査した設計にしました。
このステージデッキの設計においては、メッキや溶接を極力避けた製作を心掛け、工場でプレカットしたものを現場で「組み立てる」構造としました。
これにより、現場での施工精度を格段に上げるとともに、現場での廃材をほとんどなくすことが可能になる予定です。
そう、プレファブの一戸建てを建てる要領です。
そのために、工場での加工、品質管理にはかなりのウェイトを置いています。
通常は現地で加工するものを工場で行うため、もうこの時点で「現場」がスタートしているのです。















今日は鉄骨部の加工をしていただいている竹田工業所さん(静岡県藤枝市)に来ています。
弊社より構造材となるZAMを支給させていただき、ここで寸法、穴加工等を行っています。
すでに柱材、大引材の加工が完了しています。

さて、いよいよ来週から現場での設置(組立)作業に入ります。
お楽しみに!

※工事内容を本webで公開させていただくことをご許可いただいたご発注者の静岡県様に感謝いたします。

2009年1月10日土曜日

諫早市こどもの城 実績写真

■建築物外壁
およそ1,000㎡の外壁に145*30材を縦貼りしています。
ALC外壁に胴縁として軽量のマリンランバーを使用し、外壁材を専用ビス(とんがり君)で固定しました。
建築物は周辺の山並みをイメージしているそうです。







■建築物付帯デッキ
建物の全面には外壁と調和した800㎡のデッキが広がり、スケール感を醸し出しています。

諫早市のHPによると「こどもの城は、未来を担う子どもたちが、恵まれた自然環境を活かしながら、主体的にさまざまな活動を体験することにより、「豊かな心」と「生きる力」を培い、子ども相互の交流や家族をはじめ子どもたちを見守る人びとの交流などを通じて、ともに学び育っていく場と機会を提供します。」とあります。
現場レポートに記載しましたが、計画地に林立していた杉材を伐採、乾燥し、この再生木材の原料としました。
このような資材が使用され、本来であれば廃棄されるものを資源するという意義をこども達に感じてもらえればと思います。




■外構デッキ
外構にも3箇所のデッキを建設しました。
左の写真はデッキBの上部よりデッキA(写真奥)を見た景色です。
それぞれのデッキから降りる階段の下には、豊かな森が広がっています。







■デッキ防護柵
それぞれのデッキにはP種の防護柵を設置しています。
支柱は鎌倉彫を表現したコンクリート擬木です。
デッキの色彩との相性も良く、また、この縦格子はこのままの形状でも10度程度の勾配にはそのまま対応できるという性能を備えています。
ナベシマさんの逸品です。
また、以前の記事にも書きましたが、右の写真のデッキは1列ずつ色の濃淡が出ていますね。
「質感に乏しい再生木材デッキに表情を与える」
現場での工夫でこんな表現をすることも可能です。
【写真はデッキB】



■外構デッキC
デッキCにはパーゴラが設置されています。
これは北九州にある鎚絵さんの製品です。
同社は金属を素材としたモニュメントが得意な会社ですが、さすがに塗装や部材の取り合いが上手です。
仕上げも丁寧で、デッキに木陰とアクセントを加えてくれています。





諫早市こどもの城にはコスモス花宇宙館に併設されました。
国際化が加速する中、日本の良さ、日本人の特性など、この国の将来のために、何が良く、何が悪く、また自分に何ができるのか。
これからの未来を担うこども達には、地球という枠も振り払い、宇宙的な視野から個人を考える。
そんな経験が必要なのかもしれません。


弊社は不動テトラさんと共にこれらの施設の設計、施工、部材販売に携わらせていただきました。
業務を通じ、様々な方々にお世話になりました。
コスモスの広がる季節に、再度訪ねてみたいと思います。

こどもの城
http://www.city.isahaya.nagasaki.jp/of/02_kikaku/01_kikaku/kodomonosiro/kodomot.htm







2009年1月7日水曜日

無駄を探しに九州へ

今から3年程前、鹿児島港を管理するお役所に呼ばれ「観光施設となっている展望台のデッキが腐っているので直したい」と相談を受けました。

今思えばサラリーマンだった当時は、何ともお気楽に出張していたものです。
会社の経費で飛行機に乗り、器材を借り測量し、図面を描き、提案書をつくり・・・
会社の経費という意味では今でももちろん同じですが、その費用対効果を随分考えるようになりました・・・
つまり技術の視点からだけ見ると、同じ人間が同じ能力を使うだけなのだけれど、経営の視点から見ると一業務としてだけでなく、その収益性、効率性、将来性を複合的に考え、一度の出張でどれだけのものを得て帰ってくるのかということをすごく気にするようになりました。

明日から鹿児島~福岡~長崎への出張です。
まさに前記した案件が発注されたのです。
しかも次に繋がる大きなおまけまでついて・・・

費用対効果を考え、無駄なことを排除するという会社がたくさんあります。
無駄とは何でしょうか。
予算で言えば接待費、交際費、出張費、事務用品費etc...
それだけでなく従業員の個性や上司が持て余す個人の能力、夢、希望。


夢や希望は我社にとって「無駄」なことには入りません。
むしろ一番大切にしなければならないことだと考えています。
一方、これを「無駄」とする企業が多すぎる。
何のために働くのか、何のために会社を経営するのか。
自分の価値観に合わないものを「無駄」と称し削減、削除する。
効率化だけを求める企業は、また、それをよしとする社員はそのまま同じ船に乗っていればいい。
毎晩仲間で「大変だ」と愚痴る酒を呑んでいればいい。
サラリーマンが悪いわけではありません。
尊敬できるすばらしいサラリーマンもたくさんいます。
ですが、規格大量生産、大量消費により、 効率化を追求しすぎ、
「生き方」を忘れた企業、魚のような目をしたサラリーマンが多いように感じるのです。


我々は小さいヨットで風を読みながら航海するのが性にあっているようです。
九州へ小さな旅へ出よう。
そしてまた大きな無駄を得てこよう。



2009年1月5日月曜日

2009年 今年もよろしくお願い致します

すばらしい天気が続いたこのお正月。
良い年のスタートになりましたね。
この晴天と同様に、皆様にも晴れ渡る気持ちのいい1年になりますように~

そして今年もsai-BRANDをよろしくお願い致します。


今年のsai-BRANDの目標
①焼津漁港環境整備工事で、弊社の理想のモノづくりのを実現する(モデルケース)
②g.u.(グローイングユニット)製品の開発を強化する
③リバースデッキ工法の更なる需要を拡大する
④地元(江戸川区)に何らかの社会貢献を行う
④戸建システムデッキの正式販売を開始する
⑤業界の通念では考えられない新しい「何か」を発見する

弊社製品(工事)をご購入頂いているお客様、エンドユーザーの皆様、仕入先の皆様、株主様、社員にとって、そして地球環境にとって、逆境の中、一歩踏み出すことの出きる年になりますように


平成21年1月5日