2010年2月20日土曜日

【福井県敦賀港】7 ~斬新な取り組み~

久しぶりに敦賀の現場に行きました。
現場は良い元請さんの下にsai近畿が付いているので、技術的には安心。
ここ2回の投稿は、sai近畿の現場代理人M氏によるレポートでしたが、雪の中での施工の大変さがひしひしと伝わってきました。
それを実感すべく、久しぶりに現場へ足を運びました。
すると、上の写真の通り、天気は快晴、再生木材の施工は、間もなく完了という状況でした。
もうすぐ春が訪れるのですね。

陸側の側溝蓋は、石製で、1枚70kg近くあるそうなので、清掃時に石蓋がデッキ上に落下しないよう、再生プラスチック材の緩衝材を提案させていただきました。
濃茶の緩衝材は、景観的にもアクセントラインとなり、きれいな仕上がりです。
このような再生木材、擬木の時代となっても、やはり適材適所で材料を選定しなければなりません。
売上や拡販だけを考えるメーカーであれば、すべて自社材で提案するのでしょうが、どのような使用がされるのか、どんな不具合の可能性があるのかをしっかり検証し、適正な材料を選定することも、大切な技術だと思います。

そして残るは、既設材のリユース(下地補修)です。
劣化診断の結果、既設床板があまり良くない状態だったので、次の改修予算がつくまでの間、安全な状態を保つため、捨て根太を設置することとなりました。
この捨て根太は、再生木材で改修した箇所に使用されていた根太の中から、状態の良いものを選定したものなので、床板、根太ともリユースするというユニークな工事です。
古いものを捨て(燃やし)、新しいものを創るだけが、技術ではありません。
使えるものは検証し、きっちり使い、廃棄物を出さないというのも、これからの工事に求められる大切な要素だと実感します。

今回改修した箇所は、福井県産の檜(ひのき)が使用されていました。
この檜を原料として再生し、再生木材を製造し、敷設したのですが、上のリユースも含めると、今回の工事では、ほとんど廃棄物を出していないと言えます。
また、県から産出されたものを原料としているため、「県産品」という考え方の新たな切り口にもなったのではないでしょうか。
このような発注者の斬新的な取り組みが、福井県民の方々に広く理解されることを願っております。
そして、この斬新的な取り組みに、メーカーとして、協力させていただけたことを光栄に思います。


2010年2月13日土曜日

【福井県敦賀港】6 ~現場もいよいよ終盤へ~

現場着手からはや3ヶ月半が経とうとしてます。
思い起こせばボードウォークの本工事を着手した途端に、思いがけない荒天に見舞われて、本当に思うよう現場が進みませんでした。
そんな中、元請様にもご指導頂き、少しでも現場を前に進めていけるよう、大工さんには降雪・吹雪の中でも出来る限り、日々頑張って頂きました。

【再生木材「リバースウッド」設置】
その成果がようやく「形」として見えてきましたが、ここからが佳境であり、出来栄えに一番影響し、手間の掛かる部分でもあります。
現場がR=127.5mと大きなカーブが掛かっているため、Rの変化点の各所において、加工材を納める必要があります(写真中のデッキの張ってない場所)。
加工箇所にはリバースウッドの無垢材を使用しますが、加工する事で、材に反りが発生します。
しかし、そのクセを理解して納める事が、職人の出来る技です。

【加工部】

本工事は、リバースウッドの新設だけでなく、既設デッキ材及び根太材を流用する工事箇所もあります。
ただ新材を購入して設置するのではなく、まだ使える材料をピックアップして、裏面を使用し、新たに再利用します。
流用箇所の構造においては、数年後の改修工事に備えて、下部構造がそのまま流用できる、先を見据えた無駄のない構造になってます。
また、流用材も改修工事に備えて、床板には撥水性の木材保護塗料を全面に塗布し、根太には座掘り孔にコーキングを行い、座掘り孔から発生する腐食も防ぐような仕組みになってます。

【既設床板木材保護塗料塗布】
流用木材再利用の作業状況です。
支持脚は次期改修工事の為に新設し、その他は流用になります。
今回流用する箇所はきついカーブが掛かっているため、根太材の加工から行います。
根太の継手は相欠きし、継手も千鳥に設ける事で、強度を確保します。

【流用根太設置】

ようやく現場も終盤を迎えてきました。
どのような現場でも「気の緩みから起こる事故」が一番多く発生するのではないでしょうか。
本工事は繰り返しの作業が多い為、再度作業手順を周知し、最後まで「安全第一」で完工を迎えたいと思います。

【2010年2月13日現況】


【sai近畿 宮前氏寄稿】


2010年2月11日木曜日

神奈川県某ヵ所ボードウォーク劣化診断

昨日、神奈川県の某所にて、sai-BRANDの一番の得意とする海辺のボードウォークの劣化診断を行いました。
寒い日でしたが、海辺の現場とあり、張り切って調査に出掛けました。
海の前はいつでも気持ちがいいものです。


調査地は、平日から観光客や地元の方々が多く利用する場所なので、通行者への安全管理を行いながら調査を行いました。
まずは、既設材の樹種の見分け、断面、材長の測定など外観の調査です。
もちろん使用されているビスが適正なものかも調査の対象となります。
次に、いよいよデッキ材(床板)を外し、構造部の診断に入ります。
本施設の目の前は砂浜で、季節風や波によってボードウォーク上に多量の砂が運ばれてきます。
この砂が長年に渡り、目地からデッキ下部に侵入し堆積していました。
砂を掘り起こし、基礎コンクリートを確認すると、床板下までたっぷりと120mm以上の堆砂が認められました。
つまり、根太が砂に埋まっている状態です。
「降雨や波浪により侵入した水分を砂が保水し、根太を腐食させる
そして、床板を固定しているビスの保持力が低下し、ビスが浮き始める」
ボードウォークの一般的な劣化の症例です。
根太の含水率を計測すると、表示は「HI」。
含水率が30%を超えていることを示しています。

この他にも床板の表裏の含水率測定、打診、触診などを行いましたが、上の写真の根太の状況を勘案すると、劣化原因は「堆積した砂と水分の影響」以外考えられません。
これは「お風呂にお湯を溜めたまま、フタをし続けている状態」とよく例えてご説明するのですが、暑い日は水蒸気が蒸散できず、常にムシムシした状態にあり、寒い日は、蒸発できない水分が滞留するといった、木材にはこの上なく悪い環境に置かれていると言えます。

このような環境下で、弊社がどのような提案をするかはまだここでは書けませんが、まだ十分に利用できる床板を活用しながら、下地構造を改修して行く計画を提案する予定です。

調査完了の証に、ビスを1本だけ、弊社のオリジナルビスに打ち替えてきました。
これは、調査箇所を明確にするためですが、M6*90(SUS304)という特大のビスです。
誤解のないように記しておきますが、この施設は設置後、16年以上経過しています。
当時、材料を提供したメーカーさんは、的確な材種と、断面を選定しています。
ビスも多少の錆は出ていますが、良好な状態を維持しています。
大切に施工をされたのだと思います。
そんな方々の当時の思いを感じながら、劣化診断をさせていただきました。

2010年2月2日火曜日

sai-BRAND本部 事務所移転しました

標記の通り、sai-BRAND本部事務所を移転致しました。

江戸川区船堀3丁目から6丁目へと近所への引っ越しですが、
やはり新事務所は気持ちのいいものですね。

新事務所の開設のお祝いにお客様や関係者の方々から
お花や鉢植えをいただきました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。

以前の事務所より、多少は広くなりました。
ぜひ、お気軽にお立ち寄り下さい。


【sai-BRAND本部】
〒134-0091 東京都江戸川区船堀6-11-17 saiブランドスクエア
直通電話:03-6808-8822(直通電話を新設しました)
FAX:03-5879-5361(変更なし)