2011年5月18日水曜日

トラックの荷台改修という新たな視点

弊社の資材運搬をお願いしている彦新運輸株式会社様より、「鋼管を運送する際、鋼材の腐食を防ぐために油を塗布しているが、トラックの荷台の木材に油が染み込み、鋼管運送以外の用途に使えない。何か良い解決方法はないか」との相談を受けていました。

両社で協議した結果、●●プラスチックの発泡材を床板として使用することとなりました。

●●プラスチックなので、油分を吸収することがなく、溜まった油は中性洗剤で簡単に洗い流すことができます。


こうして主要部材の選定は簡単に済んだのですが、トラックの荷台というハード環境において、様々な検討を行う必要がありました。



1.想定積載物を載荷した際の強度計算

2.トラック走行時に発生する荷台の「よじれ」に対する構造対策

3.油分を路面に落とさないための措置(構造)

4.既設材(アピトン)との重量比較(低減)

このような検討を行い、荷台の改修工事をスタートさせました。
まず、装着されている木材(アピトン)を取り外す作業です。
ここで関心したのですが、トラックの荷台の全長を1本ものの材料で通していました。

つまり、「つなぎ」をしていないのです。


幅100mm厚み17mm長さ5700mmのサネ付の材料です。
このサネがあることにより、油がこぼれない構造となっています。
表面は油染みだらけなのですが、想像していたのとは異なり、木材の内部までは油は浸透していませんでした。
この床板を根太間ごとに切断し、固定してある釘を外す作業は、思いのほか手間取りました。

さて、いよいよプラスチック床板の設置ですが、上記の通り、様々な検討を行い、またこれからそれら検証をするため、細部は残念ながら企業秘密ゆえお伝えすることはできませんが、滑り抵抗、止水(油)性、美観は非常に優れたものになりました。

彦新運輸さんは、某大手鋼材メーカーの環境への取り組みに対し、以前より提案を続けているそうです。
トラック輸送はCO2排出という視点においては悪者扱いされがちですが、昨今ではクリーンディーゼルエンジンの開発が目覚ましいだけでなく、このような意識を持つ運送会社さんが日々の努力、先を見通す経営的視点で真摯に環境問題に取り組んでいます。
sai-BRANDは、環境企業として今後もこのようなパートナー企業を応援したいと考えております。


本技術は、昨年末、彦新運輸さんと共願で特許を出願致しました。
トラックはCO2排出の代名詞となっていますが、TPP等、国内物流の需要は高まるばかりだと想定されます。
運送会社やトラックメーカー、架装メーカーが、このような取り組みを始めてくれると、地球環境にも大きな貢献ができるのではないかと考える次第です。