2010年2月11日木曜日

神奈川県某ヵ所ボードウォーク劣化診断

昨日、神奈川県の某所にて、sai-BRANDの一番の得意とする海辺のボードウォークの劣化診断を行いました。
寒い日でしたが、海辺の現場とあり、張り切って調査に出掛けました。
海の前はいつでも気持ちがいいものです。


調査地は、平日から観光客や地元の方々が多く利用する場所なので、通行者への安全管理を行いながら調査を行いました。
まずは、既設材の樹種の見分け、断面、材長の測定など外観の調査です。
もちろん使用されているビスが適正なものかも調査の対象となります。
次に、いよいよデッキ材(床板)を外し、構造部の診断に入ります。
本施設の目の前は砂浜で、季節風や波によってボードウォーク上に多量の砂が運ばれてきます。
この砂が長年に渡り、目地からデッキ下部に侵入し堆積していました。
砂を掘り起こし、基礎コンクリートを確認すると、床板下までたっぷりと120mm以上の堆砂が認められました。
つまり、根太が砂に埋まっている状態です。
「降雨や波浪により侵入した水分を砂が保水し、根太を腐食させる
そして、床板を固定しているビスの保持力が低下し、ビスが浮き始める」
ボードウォークの一般的な劣化の症例です。
根太の含水率を計測すると、表示は「HI」。
含水率が30%を超えていることを示しています。

この他にも床板の表裏の含水率測定、打診、触診などを行いましたが、上の写真の根太の状況を勘案すると、劣化原因は「堆積した砂と水分の影響」以外考えられません。
これは「お風呂にお湯を溜めたまま、フタをし続けている状態」とよく例えてご説明するのですが、暑い日は水蒸気が蒸散できず、常にムシムシした状態にあり、寒い日は、蒸発できない水分が滞留するといった、木材にはこの上なく悪い環境に置かれていると言えます。

このような環境下で、弊社がどのような提案をするかはまだここでは書けませんが、まだ十分に利用できる床板を活用しながら、下地構造を改修して行く計画を提案する予定です。

調査完了の証に、ビスを1本だけ、弊社のオリジナルビスに打ち替えてきました。
これは、調査箇所を明確にするためですが、M6*90(SUS304)という特大のビスです。
誤解のないように記しておきますが、この施設は設置後、16年以上経過しています。
当時、材料を提供したメーカーさんは、的確な材種と、断面を選定しています。
ビスも多少の錆は出ていますが、良好な状態を維持しています。
大切に施工をされたのだと思います。
そんな方々の当時の思いを感じながら、劣化診断をさせていただきました。